欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は米国との貿易合意について、安定をもたらし、米国との緊張激化を回避するものだと擁護した。

24日付のドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)への寄稿で、EUと米国の間で貿易戦争が起これば、ロシアと中国が「祝杯を挙げる」ことになると指摘。「その代わりに、われわれは完璧とはいかないまでも強固な合意に達した」とした上で、上乗せ関税は欧州の「労働者や消費者、産業に悪影響をもたらす」高コストの貿易摩擦を招きかねないと警告した。

フォンデアライエン委員長

米国の他の貿易相手が既存の関税に上乗せして新たな税率を課されたのに対し、EUには「全て込みの」15%関税が適用されていると言及。「これにより欧州の製品は米市場により有利な条件でアクセスでき、EU企業に大きな優位性をもたらしている」と述べた。

トランプ米大統領とスコットランドで先月まとめた暫定合意は、欧州の議員や業界団体から批判を受けている。米欧は先週、貿易協定の正式化が一段と進み、欧州の自動車に対する関税が数週間内にも引き下げられる可能性がある計画に向けて動き出した。鉄鋼とアルミニウムに関しても、新たな関税引き下げの可能性が開かれるという。

欧州当局者は、ワインや蒸留酒などについて関税引き下げを引き続き求めていく考えを示している。

ドイツのメルツ首相も23日、今回の合意を擁護し、関税がドイツ経済に負担となるのは確かだが、米国との全面的な貿易戦争に比べればはるかにましだとの見解を示した。

原題:EU’s Von der Leyen Defends ‘Strong, If Not Perfect’ Trade Deal(抜粋)

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