英国の警察が1200万ポンド(約24億1000万円)余りに上る恐竜の化石を押収した。

これは巨額マネーロンダリング(資金洗浄)事件に関与した疑いのある中国人、スー・ビンライ氏が司法取引に応じて引き渡すことに合意した、恐竜の完全な全身骨格化石3体。このほかスー氏はロンドンの9つのマンションについても、所有権を当局に譲渡した。

ただ、これら全てを売却した金額の25%を手にすることがスー氏には認められたと、英国家犯罪対策庁(NCA)の弁護士が4日に法廷で説明した。

スー氏はかつて、シンガポール史上最大のマネーロンダリング事件に関与したとして国際刑事警察機構(ICPO)により指名手配されていたが、同氏とその妻が資産を引き渡すことを条件に、同国は逮捕要請を取り下げた。この事件を巡っては、複数の容疑者が逃走を続けている。

押収された恐竜の化石は1億4500万~1億5700万年前のもので、アロサウルスの母子とステゴサウルスからなる。2024年にクリスティーズが開催した「ジュラシック・アイコン」オークションで落札されていた。

さらに、スー氏がサザビーズで購入した中国の美術品11点も押収の対象となった。

NCAの文書の写しによると、スー氏は「全ての嫌疑に対する全面的かつ最終的な解決」に合意した。同氏の弁護人はコメントを控えた。

このマネーロンダリング事件はシンガポールを揺るがし、これまでに元バンカー2人が有罪判決を受けている。同国当局は昨年、海外での賭博やその他の違法事業で得た資金を洗浄したとして総額30億シンガポール・ドル(約3540億円)に上る現金や不動産、暗号資産などを押収し、中国系の10人を収監した。

原題:UK Police Seize Dinosaur Bones From Laundering Suspect (1)

--取材協力:Dexter Low.

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