(ブルームバーグ):米連邦準備制度が重視する主要なインフレ指標、7月の個人消費支出(PCE)価格指数が29日に発表される。変動の激しい食料品とエネルギーを除くコア指数の上昇ペースは加速した可能性が高い。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長と政策担当者らは、労働市場での減速リスクの高まりと物価上昇の両方に対処する難しいかじ取りを迫られており、その困難さを裏付ける数字になりそうだ。
7月のPCEコア価格指数の上昇率は前年同月比2.9%と、5カ月ぶりの高い伸びが見込まれる。前月比上昇率は6月に続き0.3%と予想される。
パウエルFRB議長は22日、カンザスシティー連銀主催の経済政策シンポジウム、ジャクソンホール会合での講演で、インフレを巡る不安が残る一方、雇用の下振れリスクが高まっているとの認識を明らかにした。トランプ政権の関税引き上げに伴う物価への影響が「今や目に見えて表れている」としながらも、影響は一時的と考えるのが合理的だと述べた。
今週はウォラーFRB理事とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、ダラス連銀のローガン総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁の公開イベントでの発言も予定される。9月16、17日に開かれる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げが決定されるどうか、政策担当者らの意向を見極めるため、投資家は注意深く耳を傾けることになるだろう。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ米国エコノミスト、 アナ・ウォン氏らはPCEコア価格指数について、「2月以来で最も高い伸びを予想している。経済活動が勢いを増せば、企業は関税コストを消費者にもっと転嫁できるかもしれない。それは8月の消費者物価指数(CPI)と雇用統計が9月の利下げを必ずしも後押しする数字にならないリスクを高める」と分析した。

29日に発表される7月のPCE統計では、財(物品)とサービスへの家計支出について、3月以来で最も大幅な伸びが示される見込みだ。経済成長の主要な原動力、個人消費の持続力を判断するため、エコノミストは個人所得にも注目するだろう。
経済指標では、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)改定値も28日に公表される。個人消費は年初の勢いを欠く状態からからまずまずのペースへの持ち直しを示す見通しだ。
一方、カナダの4-6月GDP(29日発表)の数字には、米国との貿易摩擦の悪影響が表れる可能性がある。貿易収支悪化や在庫調整を背景にBEは0.7%減のマイナス成長(予想中央値)を見込む。

原題:US Inflation to Edge Up as Powell Shifts on Job Market: Eco Week(抜粋)
(個人消費支出の見通しなどを追加して更新します)
--取材協力:Robert Jameson、Laura Dhillon Kane、Monique Vanek、Mark Evans、Reade Pickert、Katia Dmitrieva.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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