自動運転車の普及が自動車保険業界に及ぼす影響は未知数だが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は大きな商機となり得るとみている。

投資家の懸念は賠償責任の所在だ。米国の現行制度では事故が起きた場合、運転者が責任を負う。だが自動運転車に運転者はおらず、賠償責任の所在は個人から企業の保険契約者に移ることになる。

ジョシュア・シャンカー氏らBofAのアナリストは21日の顧客向けリポートで、「保険会社の収益性に対する障害」の一つが取り除かれる可能性があると指摘した。自動車保険会社は通常、損害賠償で損失を被るが、その負担が自動車メーカーやソフトウエア技術者に移れば財務面で追い風になる。

アナリストはリポートで「理論的には、米国の不安定な訴訟制度によるリスクを一部手放せるなら、個人向け保険業界は歓迎するだろう」と予想。さらに「自動車保険会社は、自らのバランスシートに損失リスクを抱えるのではなく、進んで保険金請求を処理し、新たに責任を負う企業向け保険会社に代位請求するだろう」と分析した。

一方で慎重派は、自動運転によって人為的な過失による事故が減り、保険料も下がり、保険会社の利益率を圧迫する可能性を指摘する。ただBofAによれば「データは異なる結果を示している」。技術の進歩で事故件数は改善してきたが、損害は大きくなり、そのペースは件数減少の効果をしのぐという。

さらに「自動車事故の発生率は100年以上にわたり、一貫して改善が続いてきた。この20-30年で多くの安全対策が導入されたものの、その改善のペースは明らかに鈍化している」と論じた。

原題:Self-Driving Cars Will Boost Insurers’ Profitability, BofA Says(抜粋)

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