テレヘルス(遠隔医療)スタートアップの米ローは、広告に新たな大物を起用した。テニス界のスーパースター、セリーナ・ウィリアムズ氏だ。

同氏は「ウゴービ」や「ゼップバウンド」といった人気の高い肥満症治療薬の最新キャンペーンの顔として登場。患者として31ポンド(約14キログラム)減量したと語っている。ウィリアムズ氏がGLP-1受容体作動薬の使用について公に語るのはこれが初めて。

ウィリアムズ氏は出産後の減量に苦労した末、数あるテレヘルス企業の中からローを利用したという。どの薬を使用したかは明らかにしていない。

声明でウィリアムズ氏は、「最高レベルのトレーニングを積み、クリーンな食事を心がけ、自らを追い込んだが、それでも出産後の体は反応しなかった」とした上で、「意志の問題ではなく、生物学的なことだと気づいた。私の体にはGLP-1と臨床的なサポートが必要だった」と述べた。

テレヘルス業界では患者獲得を巡る競争が激しさを増しており、こうしたセレブの起用は企業が存在感を高める手段の一つとなっている。ローや競合他社は、イーライリリーのゼップバウンドやノボノルディスクのウゴービなど、満腹感を高めて食欲を抑えつつ比較的副作用が少ないGLP-1受動態作動薬を活用している。

ローは、薬の処方や経過観察を行う医師にオンラインでアクセスできる月額制サービスを提供している。

ローがアスリートと提携するのはウィリアムズ氏が初めてではない。4月には、バスケットボール界のレジェンド、チャールズ・バークレー氏を初の患者アンバサダーとして迎えた。バークレー氏は、自身が共演するテレビ番組で体重が繰り返しジョークのネタにされていた。ローは非公開企業で、企業価値は約70億ドル(約1兆380億円)と評価されている。

ローのザカライア・レイタノ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、世界的アスリートとの提携にはもう一つの狙いがあると語る。体重は単なる意志や自己管理の問題だという誤解を正すことだ。「そうした認識が誤りであることを示す強力な証拠になる」とレイタノ氏は述べた。

あらゆる食事法や運動プログラムを試してもほとんど成果が出ないと感じる患者の話と、ウィリアムズ氏の体験は重なる部分が多いとレイタノ氏。「彼女ほどのレベルにある人物がこうしたことを公に語るのは前例がなく、勇気がいることだ。このような体験談こそ人々の心に響く」と語った。

ウィリアムズ氏の夫で起業家のアレクシス・オハニアン氏はローに出資しており、同社の取締役も務めている。

原題:Serena Williams Opens Up About GLP-1 Weight Loss in New Ro Ad(抜粋)

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