スイス議会で、UBSグループなど国内最大手銀行の報酬に上限を設定する法案が事実上骨抜きにされた。

同国上院は今年3月、国内大手銀行の幹部報酬を年間300万から500万スイス・フラン(約5億5000万円-9億2000万円)の間に制限する法案を可決していた。しかし、下院で法案が修正され、この上限が法制化される公算は小さくなったと、議会が発表した。

ここ数年、とりわけクレディ・スイスが破綻して以降、スイス政界で企業幹部の報酬は激しい議論の的となってきた。ケラーズッター財務相は以前、UBSのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)の報酬を批判したことがある。

議決権行使助言団体エートスの報告書によれば、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降にスイス上場企業のCEO報酬は大きく上昇した。

中小企業のCEO報酬は2024年に平均で前年比7.4%増加し、830万フランだったという。

議会の発表文によると、バンカーの報酬制限案について、下院の経済・税制委員会は法案から具体的な上限額の文言を削除し、代わりに「業績が好調でない場合に変動報酬は支払われるべきでない」との言い回しにとどめた。

委員会の決定により、対案が出ない限り、下院本会議で採決されるのは修正後の案だけとなる見通し。採決は早ければ来月にも行われる。

原題:Swiss Banker Bonus Cap Proposal Watered Down in Parliament(抜粋)

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