米司法省当局者は21日、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長に書簡を送り、住宅ローンを巡る不正疑惑でクック理事への調査を開始する意向を示唆するとともに、理事に辞任を促すよう要求した。

クック氏を巡っては、トランプ米大統領に近い連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長が前日、住宅ローン契約を巡って不正があったとして、同理事を捜査するよう、ボンディ司法長官に書簡で要請していた。

今回書簡を送付したのは司法省当局者のエド・マーティン氏で、これまでにアダム・シフ上院議員(カリフォルニア州)やニューヨーク州のジェームズ司法長官に対する調査を主導してきた人物だ。

クック理事の件については「さらなる調べが必要だ」と同氏は指摘。「現時点で、クック氏を理事会から排除するよう求める。手遅れになる前に、本日中に実行を!」と述べた。その上で「結局のところ、疑念がくすぶる中で理事を続けることが適切だと考える米国民はいない」と記した。

トランプ氏はクック理事の解任について協議したが、現時点で本格的には検討されていない、とある政府関係者は匿名を条件に明らかにした。トランプ氏はクック氏が自発的に辞任するか、パウエル議長によって解任されることを望んでいるいう。

だが、パウエル議長に上院の承認を経て就任したクック理事を解任する権限はない。解任できるのは大統領のみで、その場合も「正当な理由」が必要とされる。

左からパウエル議長とクック理事

クック理事は20日、「辞任を強要されるつもりはない」と表明し、職にとどまる意向を示唆していた。

マーティン氏は現時点でコメントの要請に応じていない。FRBはコメントを控えた。

仮にクック氏が辞任すれば、FRB理事ポストにまた1つ空席が生じることになり、利下げを求めるトランプ氏にとっては人事を通じて影響力を行使する余地が広がる。

原題:DOJ Urges Fed’s Powell to Remove Cook as Probe Gets Underway (2)(抜粋)

(政府関係者の話などを追加して更新します)

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