イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXは、南アフリカ政府に対し、同国で通信事業を行う上で要件となっている黒人資本出資ルールの代替案を検討するよう求めている。

南アフリカで通信事業を行う企業は黒人資本の参加比率を30%以上にするよう義務づけられている。ブルームバーグが確認した政府宛ての書簡によると、スペースXはこのルールの代わりとなる資本同等プログラムを適用し、業界の標準ルールにすることを求めている。

同社は書簡で「規制が一律化されれば、既存事業者と新規参入者の双方が事業拡大とネットワーク拡充に積極的に取り組める」とも指摘している。

南アフリカの通信・デジタル技術省は規制当局に対し、通信会社がインフラ整備や地元企業の支援プロジェクトなどに投資する代替案の検討を求めている。すでにこの例外措置が業界標準になっている業種もある。

スペースXは代替措置として、同国の地方にある5000校に無償でインターネットを提供し、240万人の生徒が高速通信を利用できるようにするとしている。衛星通信サービス「スターリンク」を活用する。

インターネットが高価で不安定な南アフリカにとって、スターリンクは大きな可能性を秘めている。2023年に統計当局が実施した調査によれば、地方の世帯でインターネットにアクセスできるのはわずか1.7%にとどまっている。

南アフリカ向けの公式サイトでスターリンクは、「この変更は全ての事業者に適用されるので、特別扱いを求めているわけではない」としている。

通信・デジタル技術省とスペースXは問い合わせに対してすぐに回答しなかった。今回の書簡については、ケープタウンに拠点を置く「ニュース24」が先行して報じていた。

南アフリカは、アパルトヘイト(人種隔離)政策の終了後、黒人経済力強化政策(BEE)を導入している。同国の首都プレトリア出身のマスク氏は繰り返しこの政策を批判し、「あからさまな人種差別」だと主張している。

原題:Starlink Urges Change to South African Black Ownership Rules(抜粋)

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