(ブルームバーグ):7月の米生産者物価指数(PPI)で関税によるインフレ圧力が示されたことで、米金融市場では来月の利下げ観測が後退し、米国債利回りが上昇した。
金融政策の見通しを反映しやすい短期国債の利回りは14日に急上昇した。2年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.73%となった。指標となる10年債利回りも上昇し、ドルも買われた。
予想を上回るPPIの伸びは、企業が関税に伴う輸入コスト上昇について価格転嫁を進めていることを示唆するものだ。統計を受け、米国債相場の上昇(利回りの低下)は一服した。
米労働省が14日に発表した7月のPPIは前月比0.9%上昇し、エコノミスト予想の中央値を4倍強上回った。

12日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は全体として穏やかな内容となった上に、ベッセント米財務長官が政策金利は少なくとも今より1.5ポイント低くあるべきだとの考えを示したことで、市場では9月の利下げ観測が強まり、一部では0.5ポイントの利下げを見込む動きもあった。
足元の金利スワップ市場では依然として、年末までに少なくとも0.5ポイントの利下げが織り込まれているが、9月利下げの確率は完全に織り込まれた水準から約85%に低下した。
米金融当局者は9月16、17両日に開かれる次回連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に、経済から発せられる強弱入り交じったシグナルを見極めようとする姿勢を示している。セントルイス連銀のムサレム総裁は14日、利下げを支持するかどうかを判断するには時期尚早だとの見解を示した。
投資家は現在、21-23日に開かれるジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)に注目している。同会合ではパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演する予定だ。

14日には、PPIの数字にもかかわらず、9月に0.25ポイント超の利下げで利益を得られる担保付翌日物調達金利(SOFR)関連のポジションが積み上げられた。
TJMインスティテューショナル・サービシズの金利ストラテジスト、デービッド・ロビン氏は「PPIは全体的なシナリオを変えるものではないが、0.5ポイントの利下げ観測はやや後退した」と述べた。
原題:Traders Trim Fed-Cut Bets as Wholesale Inflation Clouds Outlook(抜粋)
--取材協力:Michael Mackenzie、Edward Bolingbroke.
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