(ブルームバーグ):中国経済が7月に減速した。工業生産や小売売上高の伸びが市場予想を下回り、トランプ米政権の貿易戦争が景気を圧迫しつつあることを示唆している。
国家統計局が15日発表した7月の小売売上高は前年同月比3.7%増加。ブルームバーグ調査の予想中央値は4.6%増だった。6月は4.8%増加していた。7月の工業生産は前年同月比5.7%増と、昨年11月以来の小さな伸び。予想は6%増加だった。6月は6.8%増えていた。
1-7月の固定資産投資は前年同期比1.6%増。2.7%増加と見込まれていた。不動産セクターでのマイナス幅が拡大した。
ロンバー・オディエのシニアマクロストラテジスト、ホミン・リー氏は「7月の主要経済指標は、関税関連の落ち込みが始まったことを示唆している」と指摘。「需給両面の指標に明らかな減速が見られ、財政政策の年央の調整が必要だ」と述べた。
景気が年前半に底堅く推移し、中国当局は追加刺激策に関して静観していたが、今回の指標は国内経済が勢いを失っていることを示している。
中国指導部は当面、計画済みの支援策を維持しつつ、必要に応じて追加実施する方針を示しており、今後数カ月の経済指標を見極めながら微調整するとアナリストらは見込んでいる。
国家統計局は声明で、「中国経済は複雑で変化しやすい外部環境と国内の異常気象による悪影響を克服し、安定を保ちつつ前向きな発展を維持し、強靱(きょうじん)性と活力を示した」と説明した。
中国は景気押し上げに向けた大規模な対策の発表には踏み切らず、最近では企業間の過当競争を抑制する取り組みを強化している。鉄鋼や太陽光発電、電気自動車(EV)など幅広い業界で企業収益に影響する恐れもあるため、投資家の注目を集めている。
米国との対立が激化する中、長期的には外需への依存を減らすため、当局は国内消費の底上げも模索している。
クレディ・アグリコルCIBの中国担当チーフエコノミスト、治暁佳氏は「今後の経済活動データで景気減速のさらなる兆しが示される可能性が高く、向こう数カ月でそのペースが一段と加速するかもしれない」と述べた。
原題:China’s Economy Slows Sharply in Ominous Sign for Outlook (2)(抜粋)
(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)
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