(ブルームバーグ):トランプ米大統領が推進するミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」について米国の主要な防衛関連企業は数十億ドル規模の受注獲得につながると期待している。しかし、構想の詳細は未知数のままで政府は運用上の理由から情報を公開していない。
ゴールデンドームは弾道ミサイル、極超音速兵器、先進型巡航ミサイルなどの脅威から米国を守る防衛構想。トランプ氏は最終的には宇宙配備型の迎撃システムを導入するとしている。大統領任期中に稼働開始予定で総費用は1750億ドル(約25兆8000億円)に上るという。
米議会予算局(CBO)は、宇宙配備型のコストが今後20年で最大5420億ドルに達する可能性があると試算している。
しかし、国防総省は1750億ドルの見積額をどの機関が出したのか詳細を明かしておらず、計画年数や各年度の費用内訳なども説明していない。
防衛関連の企業側も構想の詳細について十分な情報を得られていない。アラバマ州ハンツビルで先週開かれた宇宙・ミサイル防衛のシンポジウムで、政府関係者は構想名を口に出すことすら禁じられていた。主催した業界団体は、会議開始前にゴールデンドーム関連の展示物を撤去し、関連情報は政府が発表すると説明した。
それでも同シンポジウムで米ロッキード・マーチンやRTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)、ノースロップ・グラマンといった大手の防衛企業は、同構想に貢献できることをプレゼンテーションを通してアピール。各社の幹部はいずれも、極めて野心的でスタートアップ企業などとの協業のチャンスもあるとして期待を示していた。
構想を主導する宇宙軍のマイケル・グートライン大将は、9月半ばまでにシステムの基本設計を公表すると見込まれている。
国防総省は声明で、運用上の懸念があるため詳細を明らかにできず、構想を支援するために情報収集を行っていると説明。同省のウィルソン報道官は先週、記者団に対し、「現時点でさらなる情報を開示するのは適切ではない」とした上で、極めて高額でかつ重要な構想について、可能な範囲で透明性を確保していくと述べている。
民間非営利団体「ミサイル防衛推進連盟(MDAA)」の創設者で会長を務めるリキ・エリソン氏は、大統領令でもすでに公表されている構想についてオープンに語れない状況は、その進行を遅らせ、計画実行の障害になると指摘している。
原題:Golden Dome Still Shrouded in Mystery, Even for Its Builders (1)(抜粋)
--取材協力:Anthony Capaccio.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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