米金融当局はインフレ率が前年比で上昇する中で利下げに踏み切る可能性があり、ドルの逆風となるとの見方をバンク・オブ・アメリカ(BofA)が示した。こうした状況は約20年ぶりだという。

同社の為替ストラテジスト、ハワード・ドゥ氏は14日の顧客向けリポートで、「仮に米利下げサイクルが再開されれば、年内の金利引き下げは前年比でインフレが上昇する中で行われる公算が大きい」と指摘。「可能性のある展開だが、歴史的にはまれな状況だ」と説明した。

ドゥ氏によれば、こうした実質ベースでの米政策金利の圧縮は2007年後半から08年前半にかけて見られた。ブルームバーグのドル指数は当時、約8%低下した。過去の分析に基づくと、ドル安は米利下げ前から始まり、利下げ後も続く傾向があるという。

 

07年後半から08年にかけては、供給ショックを受けて世界的に食料・エネルギー価格が上昇していたが、米住宅市場や労働市場の軟化を背景に米金融当局は利下げに動いた。

米金融当局は足元で、トランプ大統領の関税措置を巡る経済の不透明感と、雇用情勢の軟化見通し双方への対応を求められている。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25ポイント利下げ確率は、市場で約85%と織り込まれている。

一方で7月の米消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが加速し、前月比では1月以来の大幅上昇となった。同月の米生産者物価指数(PPI)の上昇率も市場予想を上回った。

ドゥ氏らは最近、対ドルでのユーロ買いをトレーダーに推奨。ユーロ・ドルは年末までに約3%上昇し、1ユーロ=1.20ドル前後になると見込んでいる。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は8月に入り約1.3%低下。年初来では約8%安と、17年以来最悪のパフォーマンスとなっている。

原題:Echoes of 2007 Haunt Dollar as Fed Risks Easing Amid Inflation(抜粋)

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