カナダのオンタリオ州教職員年金基金(OTPP)は、2025年1-6月(上期)に米ドル資産へのエクスポージャーを56%圧縮した。カナダ・ドルの対米ドル相場上昇に対応した。

同基金によれば、6月末時点の米ドルへのネットエクスポージャーは402億カナダドル(約4兆3100億円)と、2021年半ば以来で最も少ない。一方、カナダ・ドルの対米ドル相場は、米通商政策を巡る不確実性を背景に上期としては約10年ぶりの大幅上昇となった。

OTPPで資産配分を統括するスティーブン・マクレナン最高投資責任者(CIO)は11日のインタビューで、「全てのカナダ在住の投資家にとって今年は米ドルへの逆風が続いてきたと思う。われわれは今年だけでなく今後数年を見据えて見通しを調整した」と語った。

 

カナダの年金基金は世界的にも米資産保有で上位にランクされ、カナダ・ドルの対米ドルでの上昇は投資リターンを損なう。OTPPなど大口投資家は為替ヘッジを強化し、リスク軽減を図っている。

OTPPの外貨建て資産全体に対するネットエクスポージャーは、24年末の1420億カナダドルから994億カナダドルに減少し、米ドル建て資産がその大部分を占めた。

JPモルガン・チェースやTDセキュリティーズのアナリストらは最近数カ月、カナダの年金基金が米ドルに対するヘッジを強化するリスクに注意を促し、米ドル相場をさらに押し下げるサイクルを促しかねないと指摘してきた。

カナダ・ドルの対米ドル相場は上期の上昇率が5%強と、16年以来で最も大きい。トランプ政権の関税政策が引き起こす貿易摩擦や大規模な米財政支出への懸念が下押し圧力となり、ブルームバーグのドル指数は約9%下落した。

原題:Ontario Teachers Cuts US Dollar Exposure by 56% as Loonie Gains(抜粋)

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