(ブルームバーグ):世界の巨大テック企業の株価が相次ぎ過去最高値を更新する中、投資家は中国のインターネット大手、テンセント・ホールディングス(騰訊)がかつての輝きを取り戻す好機がついに訪れるとみている。
香港上場のテンセントの株式時価総額は今年に入り1500億ドル(約22兆2000億円)余り膨らんだ。ただ、株価は依然として過去最高値を26%下回っており、米メタ・プラットフォームズやソニーグループなど世界的なテクノロジー企業に比べ大幅な割安水準で取引されている。
割安さだけでなく、13日に発表される4-6月(第2四半期)決算や、モバイル版「ヴァロラント」など新作ゲームへの高い期待もテンセント株の追い風になっている。最高値更新にどこまで近づいているかが焦点だ。
GAMインベストメント・マネジメントのファンドマネジャー、ジエン・シー・コルテシ氏は「時間の問題に過ぎない」と指摘。傘下のSNS「ウィーチャット(微信)」の普及により、テンセントは電子商取引業界で長期的な勝ち組となる見通しで、株価バリュエーションも過去や同業他社と比べて「妥当」な水準にあると説明した。GAMの旗艦ファンドは、テンセントを最大保有銘柄としている。

中国当局の企業への締め付けによる打撃で、テンセント株は2022年に5年ぶりの安値を記録。そこからまだ完全には回復していない。同社はアリババグループなどの競合企業ほど今年の人工知能(AI)ブームによる恩恵を受けていないが、美団のような過酷な競争にもさらされていない。
テンセント株の予想株価収益率(PER)は17.6倍と、過去5年間の平均(20倍)を下回る。メタとソニーGは22倍前後、任天堂は約40倍。3社の株価は先週、いずれも最高値を更新していた。
モーニングスターのアナリスト、アイバン・スー氏は「テンセント株が過去の記録的水準に戻ることは間違いない」と語った。その上で、市場はAIが同社の広告やゲーム事業にいかに寄与するかをまだ十分に織り込んでいないが、「いずれは業績予想の修正につながると考えている」と述べた。

原題:Tencent Investors Eye Path to Record in Cheap Stock Valuations(抜粋)
--取材協力:Charlotte Yang.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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