(ブルームバーグ):中国の酒造大手、貴州茅台酒が12日に発表した1-6月(上半期)決算では売上高と純利益の伸びがここ数年間で最低の水準となった。高級酒市場の消費低迷が打撃となっている。
1-6月の売上高は前年同期比9.2%増の910.9億元(約1兆8700億円)、純利益は8.9%増の454億元だった。ブルームバーグがまとめたデータによると、上半期としての伸びは少なくとも2016年以来の低水準となっている。
株価は13日の上海市場で一時0.9%下落。約2週間ぶりの大幅な下げとなっている。
通期の増収率予想は約9%としている。
中国経済の先行き不透明感を背景に消費者は支出を抑制しており、主力商品の白酒「飛天」の卸売価格は今年の最安値を記録している。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アダ・リー氏によれば、2024年および25年製造の飛天(正規未開封品)の価格は年初来で16-17%下落している。
習近平指導部が全国の公務員に対し、出張や飲食、役所のスペースにかかる無駄な支出を削減するよう5月に通達を出したことも価格の下押し圧力になっている。政府の宴席や企業イベントでの酒類の需要がさらに落ち込む可能性があり、地元メディアによると、同月に貴州茅台酒が開催した株主総会前日の夕食会では、白酒の代わりにブルーベリージュースが提供されたという。
リー氏は「在庫調整や厳しい在庫管理の中で、ぜいたく禁止の新たなルールが需要と卸売価格を抑制しており、年末にかけて白酒の力強い回復は見込みにくい」と分析。一方で、メーカー側の柔軟な対応やすでに政府の需要が減少していたこともあり、2012年の締め付け時ほどは深刻にならない可能性があるとしている。
同社の株価は年初来で5.7%下落。5.3%上昇となっているCSI300指数とは対照的な動きとなっている。中国本土に上場する酒造会社の株価指数も年初来で8.8%下落している。
原題:Moutai Posts Worst Growth in Years Amid Weak Liquor Demand (1)(抜粋)
--取材協力:Foster Wong.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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