(ブルームバーグ):トランプ米大統領は6日、アップルが米国内生産に向けて1000億ドル(約14兆7500億円)を追加投資する方針を明らかにする。アップルとしては米国生産の拡大を表明することで、主力製品であるiPhoneへの高関税を回避する狙いがある。
ホワイトハウスで発表されるアップルの計画には、米国内へのサプライチェーン移転を促進するための新たな製造プログラムが含まれており、米国内での重要部品の組み立て拡大を視野に入れている。政府高官が匿名を条件に発表の詳細について明らかにした。
トランプ氏の発表には、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も同席する見通しだ。
アップルは現時点でコメントの要請に応じていない。
トランプ氏は5月、iPhoneの生産を米国内に移転しなければ、少なくとも25%の関税を課すと警告していた。
アップルはこれまで、今後4年間で米国内に5000億ドルを投資する計画を明らかにしており、ホワイトハウスによると、今回の発表でアップルの投資計画は累計で6000億ドル規模に達する。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ、アンドルー・ジラール両氏は、今回の新たな投資表明により、アップルがiPhoneの組み立てでインドに過度に依存していることへの「ホワイトハウスの不満を和らげる」可能性があると指摘した。その上で「アップルは米国内で低価格のスマートフォンやアクセサリーの大量生産ではなく、高額製品や人工知能(AI)開発、半導体工学への取り組みに注力すると予想している」と述べた。
トランプ氏は6日、インドによるロシア産原油の購入を理由に、同国からの輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名した。これは7日に発動予定の対インド上乗せ関税の25%に追加される形となる。
CNBCは政府当局者の話として、アップルは最近発表された米国の対インド関税の影響をほとんど受けないだろうと報じた。
6日の取引でアップル株は一時5.8%高に上げ幅を拡大。日中としては5月12日以来の大幅高を記録した。
今回の投資額は大規模ではあるが、トランプ氏や政府高官が描く米国内への全面的な生産移行には至っていない。
アップルは先週の決算発表で、4-6月期に関税による影響が8億ドルに上ったと説明。7-9月期には11億ドルのコスト増になるとの見通しを示した。
クックCEOは先週の決算会見で、米国で販売されるiPhoneの「大部分」はインドで生産されていると指摘。一方で、米国で販売されるMacBookやiPad、Apple Watchといった他の製品の大半はベトナムで生産されていると述べていた。
原題:Trump, Apple to Announce Fresh $100 Billion US Investment (3)、Apple to Remain Unaffected by New US Tariffs on India: CNBC(抜粋)
(CNBCの報道や直近株価の動きを追加して更新します)
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