(ブルームバーグ):対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を手がける米オープンAIは5日、人間の推論プロセスを模倣できるオープン型のモデル2種を発表した。いずれも無料で提供される。中国のDeepSeek(ディープシーク)が今年先にリリースしたオープン型AIが世界の注目を集めていた。
オープンAIによると、「GPT-oss-120b」と「GPT-oss-20b」の2モデルは、AIソフトウエアのホスティングプラットフォーム「Hugging Face(ハギングフェイス)」上で提供され、ユーザーからのプロンプトに応じてテキストを生成できる。
コードの作成や、ユーザーに代わってインターネット上で情報を検索するといった複雑な作業も実行可能。画像や動画の生成はできないという。重要なのは、両モデルが米メタ・プラットフォームズのAIモデル「Llama(ラマ)」と同様に「オープンウエート」だという点だ。
オープンAIは今回、両モデルが学習プロセスで習得し調整された数値を多数公開した。これにより、開発者はモデルをより柔軟にカスタマイズできるようになる。ただ、学習に使用したデータは開示されておらず、真に「オープンソース」とは言えない仕様にとどまっている。
社名とは裏腹に、オープンAIの多くのモデルはクローズドシステムだ。つまり、開発元によって制御され、ユーザーは変更できず、技術的な詳細の透明性も限定的だ。
多くの米競合他社と同じように、オープンAIは学習データを公開せず、開発にかかった巨額のコストを回収するため自社の最強モデルを有償で提供してきた。オープン型モデルの投入は、ChatGPTの基となった「GPT-2」を2019年発表して以来となる。
今年1月にディープシークがオープン型AI「R1」を公開した直後、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、自社モデルのウエート(パラメーター)を一部公開することを検討していると述べ、「オープンソース戦略を見直す必要がある」との認識も示していた。
最近ではトランプ政権が「AI行動計画(アクションプラン)」を通じ、オープン型モデルの開発を奨励。ビジネスや学術研究における「グローバル標準」になり得るとしている。
原題:OpenAI Releases Two ‘Open’ AI Models After DeepSeek’s Success (1)(抜粋)
--取材協力:Dina Bass.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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