Q. 日本側が受け入れた内容は?

A. 米国からの輸入拡大策、及び後述する対米投資の拡大策に分けられる。

輸入拡大を目指すのは農産品、LNGなどのエネルギー、航空機、自動車などである。ホワイトハウスの発表によると、日本はコメ輸入の75%の拡大、コーン・大豆・バイオエタノールなどを80億ドル購入(2024年における米国の対日食料品輸出は109億ドルであり、この75%は約80億ドル)、米大手航空機メーカーから100機の機体購入、年間数十億ドルに及ぶ防衛装備品の追加購入を指摘している。

一方、日本政府は、コメ輸入はミニマムアクセス(一定の無関税枠)における米国調達比率の上昇、航空機購入は既存の民間購入計画を含めた数値、防衛装備品は「現行の調達方針」に基づく内容、などと発表している。

また、自動車は米国から乗用車を輸入する際の認証手続きを簡素化することで、米国車における市場アクセスを向上させる。

日本政府の発表を前提とすれば、新たな施策は少なく、日本経済にとってのマイナス面は米国による関税引き下げ幅と比べても小さい。

ちなみに、東南アジア3か国は米国に対する関税撤廃を受け入れた一方、日本の対米関税は農産品等を除くとほぼゼロであり、従前より関税障壁は限りなく低い。

とはいえ、日米両政府の認識には相違がみられており、今後の交渉過程で日本側による輸入増加への新たなコミットメント、例えば日本メーカーによる米国生産車の逆輸入などが浮上する懸念がある。