(ブルームバーグ):米株式相場が最高値圏で推移する中で、下落リスクに備える投資家が通常とは異なるオプション取引に目を向けている。
S&P500種株価指数の上昇基調が続き、インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)や実現ボラティリティーの指標の多くが数カ月ぶり、場合によっては数年ぶりの低水準となっている。
トランプ米政権が関税措置を4月に発表した後のショックを経て、ボラティリティーが低下。地政学的な緊張や関税による企業業績への影響を巡る不確実性を考慮すると、多くの投資家の予想を裏切る相場動向だ。
市場には今や楽観ムードが漂い、個人投資家が選好する「ミーム株」人気が再燃する中で、米金融機関のストラテジストが、相場の高値からの反落に備える必要性に触れる機会が増えている。
決算発表や関税交渉の期限を控える中で、ヘッジ取引の重要性が高まりそうだ。シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は、7月に安値を付けると、7-9月(第3四半期)に上昇するという季節的なトレンドもそうした動きを促す要因となる。

ただ上昇相場では、単純な戦略が通用しにくい。小幅な値下がりは、すぐに買い場と見なされる。
通常のプット(売る権利)オプション取引は、株価指数の上昇に伴いすぐにアウト・オブ・ザ・マネー(本質的価値がなく権利行使しても意味がない状態)となり、投資家はポジションを高い水準に継続的に調整せざるを得なくなる。
ストラテジストらは店頭(OTC)取引の代替手段を提案。UBSグループやJPモルガン・チェースでは最近、「ルックバック」「リセッタブル」と呼ばれるプットのオプション取引活用を促している。

これらオプションでは、権利行使価格が相場の動きに連動して上昇する。JPモルガン・チェースのブラム・カプラン氏らストラテジストは今月、こうしたオプションについて、通常のプットオプションとの対比で歴史的に見て低いプレミアムでトレードされているとリポートで言及した。
シティグループで英国・欧州・中東・アフリカ地域の機関投資家向けストラクチャリング部門責任者を務めるアントワーヌ・ポルシェレ氏は、「ヘッジが非常に注目されている」と指摘。
「ルックバック機能の価値はIVに依存しており、ルックバックプットは歴史的に見て割安な水準で、堅調な買いが見られる」と説明した。

原題:Traders Hedging Stocks at Record Highs Dabble in Exotic Options(抜粋)
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