1. 推し活消費とは
2021年に「推し活」という言葉が流行語大賞にノミネートされた。それ以来、推し活は、日常生活においても広く一般に使われるようになってきている。推し活消費とは、有名人やアニメ、ゲーム等のキャラクターや鉄道等、応援する対象にお金を使うことを指し、若い年齢層を中心に広がっている消費形態である。
また、「推し活」に着目してグッズやイベントの機会を提供する企業や団体も増えている。日本銀行が2025年1月に発表した地域経済報告で、物価高を受けた消費者の節約志向の影響が引き続きみられるなか、推し活といった「こだわり消費」の好調さが指摘されているなど、推し活市場が日本経済に与える影響も大きくなっていることが示唆される。
さらにコロナ禍においては、リアルイベントの中止に伴い、オンラインでのライブ配信や仮想空間でのフェスといった形態の推し活も生まれた。これはクリエイターエコノミー(個人の情報発信やアクションによって形成される経済圏)とも呼ばれ、クリエイターと消費者(ファン)との相互交流が広がる中で、現在でも収益機会が拡大している分野である。実際に、Dimension Market Researchのレポート(2025年3月発表)によると、世界のクリエイターエコノミー市場規模は2025年に1兆9,331億米ドルに達し、2034年末には17兆7,886億米ドルにまで成長すると予測されている等、世界的にも成長期待の高い市場として注目を集めている。
2. 推し活消費は「社会的消費」?
特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会では、クリエイターエコノミー関連サービスとしての以下の3つの消費行動については、倫理性は伴わないものの、他者のための社会的消費であるとしている。
消費者庁が2022年度に実施したインターネット消費者トラブルに関する調査研究においてクリエイターエコノミー関連サービスについても調査されている。この調査のなかで、配信中に投げ銭をする理由として一番多かった回答が「配信者に喜んでもらいたいから」、次点で「配信者が継続的に活動できるよう支援したいから」となっており、「配信者(他者)」を支援したい欲求からくる消費行動だということがうかがえる結果となっている。
