タイとカンボジアの国境地帯で続く武力衝突を巡り、タイのプムタム暫定首相は25日、衝突が「戦争に発展する可能性がある」と警告した。国境地帯では24日から、両軍によるロケット砲や砲撃を使った戦闘が続いている。

プムタム氏は記者団に対し、衝突が激化し民間人の命が脅かされているとした上で、タイは自国の領土と主権を守る決意があると表明した。また、「現時点では、重火器を伴う武力衝突と見なされているが、この状況は戦争に発展する可能性がある」と語った。

一方、カンボジアのフン首相は、停戦に応じる用意があったが、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国マレーシアのアンワル首相の仲介した停戦合意からタイ側が手を引いたと非難した。フン氏によると、停戦は25日早朝に発効する予定だったという。

タイ政府によると、今回の衝突による最新の死者数は、兵士1人を含む14人で、負傷者は30人以上に上る。AFP通信は、カンボジア側の地方当局者の話として、カンボジアの民間人1人が死亡、5人が負傷したと報じた。

タイ政府は、戦闘地域から13万人以上の民間人を避難させたと発表した。カンボジア側では、衝突の中心地であるウドーミエンチェイ州で260校の学校が閉鎖されたと、クメール・タイムズが報じた。

タイの金融市場はまちまちの動きを見せた。通貨バーツは米ドルに対して0.4%下落し、1ドル=32.39バーツとなったが、これは域内の他通貨と同様の動きだった。一方で、主要株価指数は0.4%上昇し、週次で5週連続の上昇となった。

タイのラッス外務副大臣は、ブルームバーグ・ニュースに対し、中国、米国、マレーシアが支援を申し出ていると明かした。だが、「現時点では、両国間の交渉と、双方が合意している既存の2国間の枠組みを通じて問題を解決したいと考えている」と述べた。ラッス氏は、タイが先に軍事行動を停止することはなく、カンボジアが敵対行為を止めた場合にのみ、停戦の提案を検討すると述べた。

タイとカンボジアはともに、自国は専守防衛の立場で行動していると主張しており、国連安全保障理事会は25日、この問題についてニューヨークで協議する予定だ。

日本の外務省は25日、タイとカンボジアの国境付近の地域について、危険レベルを「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げた。

 

原題:Thailand Warns of War With Cambodia as US, China Urge Calm (1)(抜粋)

(日本の渡航中止勧告を追加し更新します)

--取材協力:Katia Dmitrieva、Claire Jiao、Pathom Sangwongwanich、Lee J Miller.

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