(ブルームバーグ):7月第4週(22-25日)の日本株は神経質な展開となりそうだ。参議院選挙での与党の過半数割れは相場にある程度織り込まれたとの見方があるが、市場の想定以上に大敗するなどして長期金利が大幅上昇する場合は株安が進む可能性がある。
選挙の結果次第では石破首相の進退が読みづらくなり、政策運営の先行き不透明感から市場参加者は日本株を取引しにくくなる。また、財政支出拡大を唱える政党が大幅に議席を伸ばす場合は長期金利に上昇圧力がかかり、有利子負債の大きい不動産、陸運などの公益株中心に売られやすくなりそうだ。
選挙結果は米国との通商交渉にも影響しかねない。トランプ米政権が通告した8月1日の事実上の交渉期限を前に、25%の関税は避けられないとの見方が強まるようだと相場の重しになる。
一方、与党が予想外に善戦すれば買い戻しが入りやすい。米国景気の堅調を受けた世界的な株高基調は、選挙結果にかかわらず日本株の支えとなる見通しだ。
国内では24日に信越化学工業、25日にファナックが決算を発表する。今月上旬に安川電機が通期計画を下方修正したことで、投資家の警戒感が強まっている。経済指標は25日に7月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。生鮮食品を除くコアCPIの市場予想は前年比3.0%上昇と、2カ月連続で減速する見込み。
第3週の東証株価指数(TOPIX)は0.4%高と反発した。

《市場関係者の見方》
大和証券の阿部健児チーフストラテジスト
参院選で与党が過半数割れし、国民民主や参政など財政支出を求める政党が議席を伸ばすことは既にある程度織り込まれた。石破首相は米国との通商交渉の形が見えてくるまでは続投だろう。消費減税もすぐには実施されず、いったん債券安、円安の巻き戻しが入るのではないか。世界的な株価堅調もあり、日本株が大きく下げることはないだろう。夏場は弱い季節性もあるため、上値も限定的とみている。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト
政治的に不安定な中で相場は上がりにくい。与党過半数割れの場合、長期金利が高止まりするリスクが高まり円も株式も売られる可能性がある。金利上昇に敏感な不動産や公益事業などが弱くなりそうだ。金融株には追い風だが、日銀の利上げが不透明になることは重しになる。一方、与党が過半数を維持すればサプライズで、株式相場は上昇する可能性がある。
--取材協力:アリス・フレンチ.
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