日本の輸出は前年比で4カ月連続のマイナスとなった。アジアと欧州連合(EU)向けが増加に転じ、マイナス幅は市場予想よりも小さかった。関税措置の影響が続く米国向けは、自動車を中心に4年半ぶりの落ち込みとなった。

財務省の17日の発表によると、輸出は前年同月比0.1%減少。市場予想は2.0%減だった。アジア向けが1.7%増、EU向けは5.5%増と、いずれも2カ月ぶりにプラスに転じた。一方、米国向けは13.8%減と5カ月連続マイナスで、2021年2月(14.0%減)以来の落ち込み。中国向けは0.5%減と6カ月連続で減少した。

4-6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は速報値から上方修正され、5四半期連続のプラス成長。米国の関税措置で下押し圧力を受けながらも、日本経済は底堅さを示した。先行き米関税の悪影響の顕在化が警戒される中、輸出の回復は持続的な成長の鍵となる。

農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、米国向けの自動車輸出は弱いが、「数量ベースでの下落は金額ベースより抑えられている。コストをカットして関税に対応しようとしている」と分析。EU向けは伸びているが、ユーロに対する円安で輸出金額が膨らんでいると指摘した。

 

日米両国は7月、対米輸出の約3分の1を占める自動車と同部品に課せられていた25%の追加関税を見直し、既存税率と含めて15%とすることなどで合意。輸入品に一律に課す関税の引き下げと合わせて今月16日に発効した。合意に基づき、8月7日にさかのぼって適用される。

8月の輸出の品目別では、自動車(7.9%減)、鉄鋼(14.9%減)、 自動車部品(12.6%減)と振るわなかった。米国向けの自動車は28.4%減少した。

輸入は5.2%減(市場予想4.1%減)となり、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2425億円の赤字となった。貿易赤字は2カ月連続。ドル・円の平均値は1ドル=147.73円と前年比2.1%の円高。

(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)

--取材協力:野原良明.

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