動画配信サービスの米ネットフリックスは4-6月(第2四半期)決算で、主要な指標全てで市場予想を上回った。ライバルのメディア企業が資産売却やコスト削減を進める中、同社が好調さを維持していることが浮き彫りになった。

17日の発表によると、4-6月期売上高は111億ドル(約1兆6500億円)に達し、1株当たり利益は7.19ドルに急増した。また、通期の売上高および利益率の見通しも上方修正した。

ネットフリックスは年初と年末に利用者が増える傾向があり、4-6月期は例年、比較的伸びが鈍い時期となっている。しかし、ドラマ「ジニー&ジョージア」シーズン3や「イカゲーム」最終シーズンなど、今年最も視聴された作品の2本を含め人気作を相次いで配信した。また、ドル安も追い風となった。ネットフリックス会員の3分の2以上は米国外に住む。

同社の株価はニューヨーク時間午後5時44分(日本時間18日午前6時44分)時点の時間外取引で約2%下落した。ただ株価は過去1年でほぼ2倍に上昇し、時価総額は5000億ドル超に達している。これはウォルト・ディズニーとコムキャスト、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの3社を合わせた規模を上回る。

投資家は以前、四半期ごとの会員数増加の数字を重視していたが、同社は現時点で有料会員数の公表をやめており、売上高や利益など従来の指標に注目するよう促している。

同社は17日の発表資料で、16%増収を記録した理由について、会員数の伸びや値上げ、広告収入の増加によるものと説明した。

ネットフリックスは、通期売上高が最大で452億ドルに達すると見込んでおり、営業利益率の見通しも29.5%に引き上げた。為替の追い風と充実した番組ラインアップを背景に、純利益は初めて100億ドルを超える見通しだ。

ネットフリックス決算、主要な指標全てで市場予想を上回る

ストリーミング市場をリードする同社は、顧客の視聴時間獲得でこれまでにない厳しい競争に直面している。米国ではこの1年間、テレビ視聴全体に占めるネットフリックスのシェアが伸びていない。また同社によると、平均的な会員の視聴時間も数年前とほぼ変わっていない。

ワーナー・ブラザースやコムキャストなどが事業再編を進める中、ネットフリックスは買収で視聴のシェアを拡大できる可能性もある。だが同社は自力での成長を選好していると、スペンサー・ニューマン最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話会見で述べた。経営陣は、下期に会員の視聴時間が増え、競合相手からシェアを奪うことができるとみている。

市場調査会社アンテナによると、米国内の会員数の伸びは鈍化している。同社はここ数年、パスワード共有の厳格化を通じて顧客基盤を拡大してきたが、その効果が薄れつつある。

ただ4-6月期の米国内売上高は、最近の値上げの効果もあり15%増えた。ネットフリックスは現在、十数カ国で低価格の広告付きプラン提供を通じて集客を図ろうとしている。広告収入は年内に倍増する見通しだ。

原題:Netflix Tops Wall Street’s Lofty Estimates, Raises Forecast (2)(抜粋)

(4段落目以降に直近の株価やCFO発言などを追加して更新します)

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