カナダでは6月、関税を巡る不透明感がある中、雇用者数の伸びが半年ぶりの大きさとなった。失業率は予想外に低下し、カナダ銀行(中央銀行)が次回会合でも政策金利を据え置くとの見方が強まった。

カナダ統計局が11日発表したデータによれば、6月の雇用者数は8万3100人増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は、伸びゼロ。最も楽観的な見通しでも2万5000人増だった。

失業率は0.1ポイント低下して6.9%。市場予想では7.1%への上昇が見込まれていた。前月は7.0%だった。

一方、雇用者数の伸びのうちパートタイム労働者が占める割合が84%に上った。

カナダの雇用者数はここ数カ月、わずかな伸びにとどまっていた、もしくは減少していた。失業率の上昇を防ぐのに十分なほどの雇用が創出されたのは5カ月ぶりだ。

ただ、1-6月(上期)の雇用者数は差し引き14万3800人増と、新型コロナ禍期を除けば、同期間として2018年以来の低い伸びにとどまった。月平均では約2万4000人増。

ケベック州ブロサールのスポーツ用品店で商品を見る人たち

雇用データの発表後、カナダ・ドルは一時、米ドルに対する下げを埋める場面があった。カナダ国債は全ての年限で売られ、10年債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇した。

カナダ中銀は過去2回の会合で政策金利を2.75%に据え置いた。この先は、関税と貿易を巡る不確実性に経済とインフレがどう反応するかに、おおむね左右される見通しだ。金融政策決定を次回発表するのは7月30日。

金利スワップ市場は雇用データ公表前、今月の会合での0.25ポイント利下げを30%織り込んでいたが、発表後は約15%に低下した。

 

モントリオール銀行の金利・マクロストラテジスト、ベンジャミン・ライツェス氏は「大幅な軟化が予想されていたことからすると、非常に堅調な内容だ」と電子メールで指摘。

「基調的インフレが急激に低下しない限り(それは起こりそうもない)、今回の統計および貿易面に関する最近の不確実性の高まりを踏まえ、カナダ銀行は様子見を続ける公算が大きい」と述べた。

原題:Canada Unexpectedly Adds 83,100 Jobs, Shrugging Off Tariffs (2)(抜粋)

(第8段落以降に情報を追加し、10年債利回りを最新にして更新します)

--取材協力:Mario Baker Ramirez、Anya Andrianova.

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