(ブルームバーグ):日米関税協議で交渉役を担う赤沢亮正経済再生担当相は、今後数日中に新たな悩みの種を抱え込む可能性がある。米側の担当閣僚2人が大阪を訪問する予定だが、会談できないまま終わる可能性があるからだ。

ベッセント財務長官とラトニック商務長官は、19日に予定されている大阪・関西万博の米国ナショナルデーに出席する予定。両氏は赤沢再生相と関税協議を行うかどうか明らかにしていない。
赤沢氏は難しい立場に置かれている。両氏との接触機会が全くなければ、8月1日の上乗せ関税発動期限に向けて交渉が続く中、米国が日本と距離を置こうとしているとの印象を与えかねない。ラトニック氏がベッセント氏に同行することで、そうした見方が強まる恐れがある。会談が行われても目立った成果がなければ、20日の参院選を前に交渉は停滞しているとの見方が有権者の間で広がる可能性もある。
赤沢氏が大きな成果を挙げられる兆しは今のところ乏しい。トランプ大統領が今週、日本からの輸入品に25%の関税を賦課すると発表したが、与党内からは反発する声が出ている。対日貿易赤字の主因であり、日本にとっての基幹産業である自動車と自動車部品への25%の分野別関税の扱いを巡り、日米両国は引き続き対立している。
元総務相の片山善博氏は、仮に米国が全部譲歩して自動車の関税をゼロにすれば、「そういう話はものすごいポイントゲットになるが、そんなことはあり得ないだろう」と指摘。会談を行い、協議を継続することにしたとなれば、「御の字」だ、との見方を示した。
日米閣僚間の関税協議はこれまで7回行われているが、いずれも赤沢再生相が訪米している。日本出発時に協議日程が確定していないことがほとんどだ。先月の7回目の交渉では、ベッセント氏との協議は実現せず、ラトニック氏との3回のやり取りのうち、2回は電話での対応だった。
万博は外交の場としての機能も果たしている。中国の何立峰副首相は、11日の中国ナショナルデーに合わせて大阪を訪問したと報じられている。報道によると、何副首相は大阪で自民党の森山裕幹事長と会談し、日本産牛肉の輸入再開について協議したという。
原題:Japan’s Akazawa Faces Bad Optics Risk as Lutnick, Bessent Visit(抜粋)
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