米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社、トライカラー・ホールディングスの資産担保証券(ABS)保有者に先週、利息分が支払われたが、この一部がここ数日に取り消された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。トライカラーは今月、連邦破産法第7条に基づく会社清算を申請。突然の破産に、債権者の資金回収計画は宙に浮いた。

公に話す権限がないため匿名で話した関係者によれば、投資家への暫定的な利払いを担ったカストディアン(資金管理)銀行の少なくとも1行は、この債券の受託者から必要な資金が配分されなかったため、利払いを取り消した。

ヒューストンのトライカラー店舗

このような取り消しは異例で、突然のトライカラー破産による混乱と業務面での難題が浮き彫りになった。トライカラーによる不正疑惑が渦巻く中で、債権銀行は担保が複数の貸し手に差し出された可能性を調査している。企業の格付け情報などを提供するクロール・ボンド・レーティング・エージェンシー(KBRA)は22日、トライカラーの証券を最大19段階格下げし、「CCC」以下に指定した。

トライカラーで自動車ローンを組んだ顧客から、元本と利子分を回収する責務を引き継いだ回収業者のヴァーヴェントは、顧客口座の完全掌握に依然苦労していると、同社のコンプライアンス責任者は先週述べていた。債券の受託者であるウィルミントン・トラストは、回収業者からの入金がない限り、カストディアン銀行口座への振り込みを実行できない。

ヴァーヴェントの担当者にコメントを求めたが、22日のプレスリリース以外に新たな情報はないと述べた。ウィルミントン・トラストはコメントを控えた。

トライカラーは主に不法移民向けに中古車を販売し、ローンを提供していた。米連邦地検は同社を詐欺の疑いで調べている。

同社は2022年からこれまでに20億ドル(約3000億円)近いABSを発行。このうち2億1700万ドル相当はつい6月に販売された。債券価格はこの数週間に急落し、トレースが調べた価格によれば、格付けの低いトランシェでは額面1ドルに対しわずか12セントで取引されているものもある。

原題:Tricolor Interest Payouts Clawed Back From Bondholder Accounts(抜粋)

--取材協力:Josyana Joshua.

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