(ブルームバーグ):香港ジョッキークラブがブラックストーンなどの買収ファンドに預けていた資金のうち最大10億ドル(約1470億円)を手放そうとしている。事情に詳しい関係者が明らかにした。第2次トランプ政権発足後に激化した貿易摩擦を踏まえ、米国資産を売却している。
香港で競馬の独占運営を担うジョッキークラブは、TAアソシエイツ・マネジメントやウォーバーグ・ピンカス、クレイトン・デュビリエ&ライス(CD&R)などのファンドに預けていた米国資産の売却を進めている。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争が、世界一の経済大国である米国の予測可能性を損なっているとの懸念から、アジアのファンドや富裕層の間では対米投資を控える動きが広がっている。
ブルームバーグ・ニュースは先月、中国の政府系ファンド、中国投資(CIC)が今年、カーライル・グループやKKRなどに関係する持ち分10億ドルの売却を一時検討したが、最終的に売却を取りやめたと報じた。
またファミリーオフィスや超富裕層向けのアドバイザーなど約10社が、米国の株式や米国債を中心に投資を削減あるいは凍結していると、ブルームバーグは5月に伝えている。
関係者の一人によると、香港ジョッキークラブはさまざまな資産を売却しようとしており、そのうちの一つは約7億ドル相当に上る。ジョッキークラブがこれほど大規模な資産を流通市場で売るのは異例のことだという。
売却プロセスは1-3月(第1四半期)に始まり、一部の買い手候補は4月から検討を始めた。関係者によれば、この取引はジェフリーズ・ファイナンシャル・グループが主導している。
情報サイトのセンダリーズ・インベスターは、ジョッキークラブが5億ドル規模のポートフォリオの売却を模索していると報じていた。
ウォーバーグとブラックストーンはコメントを控えた。CD&RとTAアソシエイツは取材に応じなかった。香港ジョッキークラブとジェフリーズからも、現時点でコメントは得られていない。
原題:Hong Kong Jockey Club to Sell $1 Billion in Blackstone, US Funds(抜粋)
--取材協力:Preeti Singh.
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