先週発表された米雇用統計が予想を上回る強さを示したことを受けて米国債利回りの上昇が続く中、先物市場の投資家は米国債に対する強気ポジションの一部を解消し始めている。

トレーダーらは、3日の米雇用統計発表を前に、弱い結果が利下げ観測を強めると見込んで米国債の先物に大規模なロング(買い持ち)ポジションを積み上げていた。しかし、その見通しはデータの強さにより覆され、以降数セッションでオープンインタレスト(未決済建玉)は急減している。

ロングポジションの解消は、米国債に強気の投資家にとって利益を圧迫する要因となっている。ポジションの変動は主に5年債および10年債の先物に集中しており、10年債先物では3日におよそ1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)当たり500万ドル(約7億3000万円)相当のリスクが解消された。これは現物換算で、約70億ドル相当の10年債が売られた計算になる。

8日には再び米国債に売り圧力がかかった。各国政府が長期債に過度に依存しているとの懸念を背景に世界的に長期国債への需要が低下した。

シティグループのストラテジスト、デービッド・ビーバー氏はリポートで、「強い米雇用統計の結果を受けて市場が織り込む7月利下げ確率はゼロになり、直近のロングポジションが圧力を受ける中で、持ち高解消による価格下落が進んだ」と説明した。

ただ同氏によると、米国債における戦術的ポジショニングは「依然としてロング寄りの状態」であり、最近構築された強気のポジションは現在含み損を抱えている。

米商品先物取引委員会(CFTC)が7日発表したデータによると、資産運用会社による5年債および10年債先物のネットロングポジションは大幅に増加し、いずれも過去最高水準に達した。

9日と10日に実施予定の10年債390億ドルと30年債220億ドルの入札は、長期デュレーションに強気の姿勢をとる米国債投資家にとってさらなる圧力となる可能性がある。需要の弱さが見られた場合は、一層の下落を招きかねない。一方で、8日に実施された3年債580億ドルの入札は堅調な需要を集めた。

原題:Treasury Bulls Unwind Big Bets as Strong Data Pushes Yields Up(抜粋)

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