増え続ける養介護施設での高齢者虐待
厚生労働省は、2024年12月27日、2023年の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)」に基づく対応状況等に関する調査結果(以下、調査結果)を公表した。
養介護施設従事者等(以下、介護職員等)による虐待に関する相談・通報件数は過去17年間で約12.6倍に、虐待判断件数は約20.8倍に増加している(図表1)。
2020年以降の状況をみると、相談・通報件数は前年比でそれぞれ14.0%、16.9%、23.1%増加し、虐待判断件数もそれぞれ24.2%、15.8%、31.2%増加しており、いずれも急激な増加傾向を示している。

筆者は以前、養介護施設よりも閉鎖的な家庭環境において、介護経験の乏しい家族などによる高齢者虐待に問題意識をもち、その根絶への課題と取組みについて考察を行った。
今回は、養介護施設における虐待の顕著な増加傾向を踏まえ、介護職員等による高齢者虐待の防止に向けて考察を行う。