「平和の配当」という名の“ツケ” 逆転する国防費と社会保障費

その答えは、1955年以降の医療費と福祉費の増加が、国防費の削減と相関しているという経済的な背景にあります。

経済学者はこれを「平和の配当」と呼んでおり、冷戦終結による国防費の削減分が、減税や医療などの他の分野に充てられてきたことを指します。

過去70年間のデータを見ると、イギリスのGDPにおける軍事費の割合は一貫して下がり続け、逆に医療費の割合は増え続けています。

1950年代には、イギリスのGDPの7.5%が国防費に、約3%が医療費に充てられていましたが、今ではその数字が完全に逆転しています。

これが「平和の配当」の実態であり、今日のイギリスが直面する国防上の課題に直結しているのです。

この問題は、イギリス単独のものであると同時に、NATOにとっても喫緊の課題です。