「一体化」…香港の魅力はどうなる?

着々と進む中国との一体化により、香港で生まれ育った人々の中国に対する向き合い方にも変化が生まれています。

日曜日の朝。電車に乗った人たちがある場所へと向かっています。

記者
「大勢の人たちが地下鉄から下りてきました。この人たちはみな香港側から中国に向かう人たちです」

中国南部の巨大都市・深セン。数年前から香港住民の間では、深センのショッピングモールで週末を過ごすことがブームになっているのです。

深センを訪れた香港住民
「2週に1度は深センに来ます」
「買い物をして食事をするついでにリラックスするためマッサージをします。3割くらい深センの方が安いです」

物価が高い香港に比べ、安くて質の高いサービスが受けられるとあって、香港住民は今、中国に引き寄せられているのです。

さらに、深センの高層ビル群の対岸の香港側では、これまで何もなかった湿地帯に中国・香港両政府が主導する巨大な研究開発拠点の建設が進んでいました。

ファーウェイなど中国を代表する大企業が集まる深セン市と、香港北部を一体化させようという計画です。

中国化が進む香港。受け止め方はさまざまです。近所の住民は…

近所の香港住民  
「深センに近いこのエリアが発展することで、香港の仕事も増えるでしょう」
「中国が良いと香港も良くなるので発展を支えます。私たちは中国人ですから」

一方、「あきらめ」とも取れる声も聞こえてきます。

香港住民(30代)
「中国と一体化することはしょうがないです。97年に返還されたのですから。嫌なら香港を出ていくしかありません」
「(Q.香港の魅力は失われていくと思いますか?)そう思います。香港はどんどん中国になっていくと思います」

30年にわたり香港の人の流れを見てきた羅さんは、中国化が進む香港をこう表現しました。

香港移民サポート会社 羅立光 社長
「今の香港の課題は、いかに香港らしさを維持するかです。例えるなら中年男性が人生の転機で迷い、新しい道を探しているような状態です」

民主化デモから6年。

かつて「中国でありながら中国でない」ことが魅力だった香港。急速に進む中国との一体化により、今、大きな岐路に立たされています。