4日の日本市場では中長期債が上昇。トランプ米大統領が上乗せ関税について貿易相手国・地域は「8月1日から支払いを開始する」と発言し、リスク回避の買いが優勢になった。

米上乗せ関税の一時停止の期限は今月9日に迫っている。トランプ氏は4日、具体的な関税率を一方的に記した書簡の送付を同日から開始すると話した。「関税率はおそらく60-70%から10-20%の範囲になるだろう」とも述べた。

りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、「日本の関税率は4月と同じように10%から70%の上の方になるかもしれないとの警戒感が強まり、5年債や先物が強くなっている」と述べた。

円相場は1ドル=144円台前半に上昇。株式は東証株価指数(TOPIX)が小幅に下げた。

債券

中長期債や先物相場は、関税政策を巡る不透明感から取引終盤にかけて買いが優勢となった。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米雇用統計の影響で売りが先行していたが、先物が買われ手前のゾーンもしっかりで、長期金利も1.455%を付けたところで買いが入ったと説明した。

ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、関税率引き下げと引き換えに防衛費拡大を求められる可能性があるほか、参院選の結果次第で財政拡張に向かう可能性もあるため、「超長期債中心に債券は上値が重い状況が続く」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は1ドル=144円台前半に上昇。5月の家計調査で実質消費支出が高い伸びとなったことや、米関税を巡るリスクオフが円買いにつながった。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、トランプ大統領の書簡の話でリスクオフ的に円が買われていると指摘。「株式相場はそれほど下げている訳ではないが、不透明感から対ユーロなども含めて全般的にドルが売られている」と述べた。

株式

東京株式相場はTOPIXが小幅安。米関税政策への警戒が重しになった。朝方は米雇用統計が予想を上回ったことを好感した買いが先行したが続かなかった。

三井住友DSアセットマネジメントの武内荘平シニアファンドマネジャーは、関税が引き上げられるという最悪のケースはまだ完全に織り込まれていないと指摘。実際に関税の引き上げが発表されれば、相場はネガティブに反応するだろうと話した。

上場投資信託(ETF)による売りへの警戒感も相場の重しになった。例年この時期に分配金捻出のために保有株式の一部を売却する傾向があるためだ。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕、横山桃花.

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