フィデリティ・インターナショナルの運用者は5月、日本株売り・韓国株買いに動いた。韓国の企業統治改革や堅調な企業業績に着目しており、日本との比較でも韓国株は有望とみている。

同社のマルチアセットポートフォリオマネジャー、イアン・サムソン氏は韓国大統領選直前となる5月末までに、日本への投資比率を減らし、その資金を移すことで韓国株をオーバーウエートにした。新政権が政治的な不確実性を抑え、株主を巡る改革を加速させるとの期待があった。

東証株価指数(TOPIX)は年初来で1.3%高にとどまるのに対し、韓国総合株価指数(KOSPI)は29%上昇している。ブルームバーグのデータによれば、TOPIXの予想利益が4月のピークから2.4%落ち込んだ一方、韓国株は3月の最低水準から6.1%上昇している。

サムソン氏は今週のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「バリュエーションの水準や経済の好調さを踏まえれば、韓国株がさらに上昇しても不思議ではない」と指摘した。

韓国株のパフォーマンスが今年好調な背景には、李在明大統領による株主還元強化の取り組みがある。海外勢の資金回帰に伴い、政策当局者が企業統治改革をさらに進めるとの期待も高まっている。

サムソン氏にとって、比較対象として有用なのが日本だ。KOSPIの株価純資産倍率(PBR)は約1倍と、日本株の水準を大幅に下回る。この差を踏まえ、改革が進めばKOSPIは「さらに10-20%上昇」する可能性があるとみている。

同氏のファンドは、利益のトレンドや中央銀行の政策の違いに注目し、日本株を売却し韓国株に振り向けてきた。「日本銀行は動きにくい状況にあり、非常にわずかな引き締めしかしていない。これに対して韓国はより大きく金融緩和に動いており、国内経済を支援している」と説明している。

原題:Fidelity Fund Shifts to Korea Stocks, Trims Japan on Reform Bets(抜粋)

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