(ブルームバーグ):米市場では、ブーム後に失速していた特別買収目的会社(SPAC)が新規株式公開(IPO)に代わる選択肢として中堅企業の注目を集めている。
ブルームバーグの集計データによると、2025年に実施された100件の従来型IPOのうち、IPO規模が5億ドル(約720億円)を超えた案件は9件にとどまり、3分の2は5000万ドルに届かなかった。これは、今年のIPO市場が安定した大企業と、高リスクの小規模企業に二極化していることを示している。
この間に位置する中堅以下の企業が、IPOに代わってSPACとの合併による上場を選ぶ動きが広がる可能性があると、SPACインサイダーの創業者で最高経営責任者(CEO)のクリスティ・マービン氏は分析。
「評価額が10億-50億ドルの企業の多くは、より大規模な企業と比べて銀行からの優先順位が下がる」とし、このため中堅企業がSPACとの合併など他の選択肢に目を向け始めていると説明した。
ソフトバンクグループなどが出資するビットコイン投資会社トゥエンティワン・キャピタルと、SPACのキャンター・エクイティー・パートナーズとの合併が4月に発表されるなど、このところSPAC合併が相次いでいる。こうした動きを背景にSPAC自体のIPOは21年のブーム以来最も活況を呈している。
米株式市場の回復に伴い、従来型・非従来型を問わず新規上場が再び注目されている。ステーブルコイン発行企業、サークル・インターネット・グループや人工知能(AI)向けクラウドサービスを手がけるコアウィーブの株価は上場後に急伸した。SPACと合併し、上場を果たした企業(de-SPAC)の株価も大きく伸びている。
キャンターフィッツジェラルドの株式資本市場グローバル共同責任者、ボー・ボーム氏は「最近のIPOやde-SPACの株価パフォーマンスが良好なことが、両市場への関心を後押ししている」と指摘。「伝統的なIPO市場とSPAC市場の再活性化は、密接に連動している」と説明した。
SPACインサイダーのマービン氏は、今年これまでに発表されたSPAC合併案件は現時点で23件と、SPACのIPO件数を下回っているものの、今後さらに増加すると予想している。
原題:SPACs Regain Popularity as IPO Alternative for Smaller Firms (1)(抜粋)
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