米国の銀行株が絶好調で、ヘッジファンドが猛烈な勢いで買っている。ウォール街では、この記録的な上昇相場がさらに続くとの見方が強まっている。

ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門のデータによると、短期志向の投資家による先週の買い越しは約10年で最高水準に達した。

強気ムードに加え、利下げ期待の高まりや米連邦準備制度理事会(FRB)が大手銀行すべてが年次ストレステストに合格したと発表したことが重なり、S&P500種株価指数の金融セクター指数は6月30日に過去最高値を更新した。

金融株を注視するアナリストやトレーダーの間では、業界に対する期待感が高まっている。UBSグループのトレーディング部門では、大型銀行株のバスケットが株式投資手段として選好されている。

ウェルズ・ファーゴの著名銀行アナリスト、マイク・メイヨー氏やバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストも、さらに上昇が続くと予想。

BofAのエブラヒム・プーナワラ氏率いるアナリストチームはFRBによるストレステストの結果について「金融セクター全体にとっての起爆剤になる」との見方を示した。

トランプ米大統領が昨年11月に再選された後に多くの投資家が期待した上昇相場が実現した形だ。

米国の主要銀行を対象とするKBW銀行株指数は4月の安値から30%以上上昇している。

さらに、資本やレバレッジ比率の要件を緩和する銀行規制変更が見込まれていることも一段高の要因だ。

RBCキャピタル・マーケッツの米銀行株戦略責任者、ジェラード・キャシディ氏は「バランスシート上に保有すべき資本の要件が緩和されれば、銀行にとって融資の収益性が高まる。これは、より積極的な貸し出しにつながり得る」と語った。

同氏は現在、世界的に見て米国の金融セクターが最も有望とみている。

FRBの金融緩和も視野に入っている。通常は金利上昇が銀行の利ざや拡大につながるが、今年中の利下げへの期待は景気を下支えし、ディールメーキング業務の追い風となる可能性がある。

オプション市場では、銀行株の上昇に賭ける動きが強まっている。金融株に連動する上場投資信託(ETF)、ファイナンシャル・セレクト・セクターSPDRファンド(XLF)オプションのプットに対するコールの比率は、4カ月ぶりの高水準付近で推移している。

原題:Hedge Funds Pile In as Big US Banks Soar to All-Time Highs(抜粋)

--取材協力:Georgie McKay.

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