米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)に資金が流入し続け、運用資産は過去最高の7兆4000億ドル(約1100兆円)に達した。クレーン・データによれば、年初からの資金流入は3200億ドル超に上る。

ウォール街では2025年に入って米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが進むとの見方が広がっていたが、それにもかかわらず高水準の利回りを維持するMMFは予想外の堅調さを見せている。

フェデレーテッド・ハーミーズのグローバル流動性市場最高投資責任者(CIO)のデボラ・カニンガム氏は、MMF残高は「2025年中に優に7兆5000億ドルになるだろう」と語る。「5%超の金利は理想的だったが、4%台でも十分に魅力的だ。3%台後半まで下がっても許容範囲だ」と続けた。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)によれば、6月中旬時点でMMFの単純7日平均利回りは政府系ファンドで3.95%、プライムファンドで4.03%。両者のスプレッドは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となっている。

マネーファンドは近年、20年の新型コロナウイルス流行時のリスク回避先として、また22年の利上げ局面に資産を増やしてきた。

MMFは銀行に比べて利下げの影響を反映させるのが遅いため、昨年FRBが利下げに転じた後も資産残高は拡大を続けている。

一部の投資家はMMFから債券や株式の超短期ファンドなど代替資産に分散しつつあるが、それでも流入は続いているとカニンガム氏は指摘した。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのファンドマネジャー、マイケル・バード氏は「資産残高が維持され、むしろ増えているのは驚きではない。たとえFRBが今年利下げを進めたとしても、MMFの金利はなお相対的に高水準にとどまるだろう」と述べた。

原題:The $7 Trillion-Plus Pile in US Money-Market Funds Keeps Growing(抜粋)

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