(ブルームバーグ):5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比のプラス幅が前月から拡大し、2023年1月以来の高水準となった。コメを中心に食料の伸びが加速した。
総務省の20日の発表によると、コアCPIは前年比3.7%上昇となり、市場予想(3.6%上昇)を上回った。23年1月は4.2%上昇だった。コアCPIは6カ月連続で3%台の伸びが続いており、日本銀行の目標の2%を上回るのは38カ月連続となる。
コアCPIを押し上げた生鮮食品を除く食料は7.7%上昇。このうちコメは101.7%上昇と、比較可能な1971年以降で最大の伸びとなった。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.3%上昇と伸びが拡大した。3%台は2カ月連続。市場予想は3.2%上昇だった。
日銀ではトランプ関税の影響が年後半に本格化し、経済・物価の下押し要因になるとみている。一方で、足元までの消費者物価は堅調な推移が確認された。今後の金融政策運営では、日米をはじめとした関税交渉の進展や影響の見極めがより重要な判断材料となりそうだ。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは、数字自体は強いが、コメや外食などに引っ張られている部分が大きいと指摘。「日銀が重要視している基調的なインフレ率が本当に強いのかというところは評価が分かれるところ」と語った。その上で、円高や海外経済の動向を考えると、日銀の見通し達成の確度も怪しくなっており、「国内物価だけをもって利上げの判断はまだ難しい状態」との見方を示した。

コア指数を上回る伸びが続いていた総合指数は3.5%上昇とプラス幅が縮小。2021年8月以来、約4年ぶりにコア指数を下回った。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.4%上昇となり、前月の1.3%上昇からプラス幅が拡大した。今春闘における賃上げ率が5%台の高水準となる中で、物価への波及が継続するかが焦点になっている。
総務省は、コア、コアコアの伸び拡大に最も寄与したのは生鮮食品を除く食料だが、それ以外のサービスを含めて幅広い品目で押し上げ効果がみられていると説明。サービス価格は、外食や外壁塗装などでは原材料価格の上昇以外に、人件費の上昇に言及するケースもみられているという。
トランプ関税を巡って不確実な情勢が続く中、日銀は17日の金融政策決定会合で金融政策の維持を決めた。植田和男総裁は記者会見で、政策判断で重視する基調的物価は上昇しているものの、2%へ向けて「加速感を持って上がってるという状況ではない」と説明。その上で、現在の食料品を中心とした消費者物価の高い伸びが基調に影響する可能性に言及した。
総務省の説明
- 生鮮食品を除く食料は23年9月(8.8%上昇)以来の高い伸び。コメ類、調理カレー、鶏肉などが値上がり
- エネルギーはマイナス寄与。このうち電気代は、電気・ガス料金負担軽減支援事業の終了や再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価改定が押し上げ要因となり前月比で上昇したが、前年の再エネ賦課金の上昇幅の方が大きく前年比では縮小
(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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