(ブルームバーグ):米政権は米国とイランの暫定合意が世界的なエネルギー危機を終息させ、政権の戦時目標を達成できると訴えた。ただ双方は合意の具体的な内容を巡り見解が食い違っている。
各国首脳は合意を歓迎し、市場も好感した。ただ、米国とイランはまだ覚書を公表しておらず、発効時期や、ホルムズ海峡の航行再開にどのようにつながるのかを巡って疑念が残っている。
トランプ米大統領は15日、フランスで開かれている主要7カ国(G7)首脳会議で記者団に対し、ホルムズ海峡の航行は確保されるとの認識を示した。フランスのマクロン大統領の横に座ったトランプ氏は「すでに多くの航路が利用可能になっている」と述べた。
バンス米副大統領も15日、複数のテレビ番組に出演し、暫定合意を擁護した。今後の合意は、イランが条件を履行しているか確認する検証の枠組みを柱に構築されると主張した。米国とイランは19日に正式な署名式典を開く見通しだ。
また、匿名を条件に記者団に語った米政権高官らは、オバマ政権以降の米政権が掲げてきた対イラン政策の方向性と重なる将来像を示した。米国はイランに手を差し伸べ、イランが一連の要求を受け入れれば、経済制裁の緩和や他の経済的な見返りを得られるようにしたい考えだという。
約4カ月前に始めた戦争に対するトランプ氏のいら立ちはますます顕在化している。トランプ氏はG7首脳会議でも疲労した様子を見せた。ホワイトハウスで自身の誕生日に開催された総合格闘技団体「UFC」のイベントに出席した後、現地時間15日午前3時(日本時間同日午後4時)ごろにワシントンを立ち、フランスのアルプス地方へ向かった。
政権側が暫定合意の意義を強調する一方、ホルムズ海峡に通航料が導入される可能性について米国とイランは異なる説明をしており、合意内容の不透明さが改めて浮き彫りとなった。
トランプ氏は「海峡は開放され、通航料もかからない」と述べた。しかし、イランの準国営ファルス通信は、暫定合意ではイランが60日間に限定して無料での通航を認め、その後は通航料を徴収する計画が盛り込まれていると報じている。
海峡が実際に安全な航路となるかどうかは、最終的には海運各社が判断することになる。トランプ氏の主張はこれまで海運業界から懐疑的に受け止められており、各社は状況がより明確にならない限り、航行に慎重な姿勢を示してきた。
さらに、レバノンで続く戦闘も、今回の暫定合意が維持されるかどうかの大きな試金石となる。レバノンでイスラエルは、自国領への攻撃を防ぐためとして、親イラン派武装組織ヒズボラへの攻撃を続けている。
15日これに先立ち記者団に語った米政権高官によれば、イスラエル軍のレバノン撤退は合意条件には含まれておらず、イスラエルにはヒズボラからの攻撃に対応する権利があるという。
一方、トランプ氏は記者団への発言で、レバノン問題はさらなる協議によって解決が可能との見方を示した。
「レバノン問題を解決できるか見極めたい」とし、「ヒズボラとは少し話し合う必要がある」と述べた。
トランプ氏、バンス氏、イランのガリバフ国会議長はすでに暫定合意にオンラインで署名している。正式な署名式典は19日に予定されている。
トランプ氏は15日、合意文書について「金曜日(19日)以降のどこかの時点で」公表される可能性があると述べた。
原題:Trump at G7 Hails Iran Deal as Divisions With Tehran Remain (1)(抜粋)
--取材協力:Paul Wallace、Michelle Jamrisko.
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