(ブルームバーグ):イスラエルとイランの対立がサイバー空間にも広がっている。両国の間で長年続いてきたハッキングと諜報活動の応酬が一層激化している。
17日には、親イスラエルのハッカー集団がイラン銀行大手に対するサイバー攻撃を巡り犯行声明を出した。国営イラン放送(IRIB)は、イスラエルがイランの重要インフラに大規模なサイバー攻撃を仕掛けたと報じていた。
イラン革命防衛隊に近いファルス通信は、イランが過去3日間でDDoS攻撃を6700件以上受けたとも伝えた。大規模サイバー攻撃による影響を緩和する措置として、インターネット利用が一時制限されたという。DDoS攻撃は、大量の通信を送り込むことでサーバーに負荷をかけ、ウェブサイトやオンラインサービスへの接続を妨害する行為。
17日夜には、イラン国内で多くの仮想プライベートネットワーク(VPN)が使用不能になり、ネット接続に関する障害の報告が相次いだ。ATM(現金自動預払機)やオンラインシステムなど銀行関連サービスでも不具合が報告された。一連の問題がサイバー攻撃によるものか、影響を最小限に抑えようとした政府の対応によるものかは明らかになっていない。
イスラエルに関連するとみられる今回の攻撃は、両国間の緊張が新たな局面に入ったことを示している。ただ、サイバー空間における両国の対立は20年前から続いてきた。
近年ではイランに加え、イスラム組織ハマスなどの代理勢力がイスラエルに対し、さまざまなサイバー攻撃を試みてきた。その手法は情報戦やデータ破壊工作、フィッシングなど多岐にわたる。
原題:Iran-Israel Conflict Spills to Digital World, Inflaming Rivalry(抜粋)
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