(ブルームバーグ):ロンドンの金融街シティーは近年、英国の欧州連合(EU)離脱から新規株式公開(IPO)離れなど、多くの課題に直面してきた。そして今、ポンド建て社債市場の急速な縮小という新たな打撃に見舞われている。
ポンド建て社債市場の規模を追跡する指数は今月、月間の下落率が過去最大級となる見込みだ。ポンド建て社債の低迷は数年にわたり続いていたが、今回の落ち込みは英国企業ですらポンド建て社債に背を向けつつあることを示す。今年のポンド建て社債発行全体に占める英国企業の割合は、14年ぶりの低水準となる勢いだ。
「緩やかな死に向かっている市場という様相だ」と、ロンドンを拠点とするネドグループ・インベストメンツのシニアファンドマネジャー、アレクサンドラ・ラルフ氏は述べ、「いまや多くの企業が英国でなく、欧州で発行している」と指摘した。
英国企業は代わりに、資金調達の場としてはるかに奥行きのあるドル市場とユーロ市場に目を向けている。ポンドは今年に入り対ドルで持ち直しているものの、超長期債の発行を目指す企業がかつては真っ先に検討対象としたポンド建て社債市場は、今では世界全体に占める比率が4%未満にまで低下している。
新たに社債を発行しようとする英国企業にとって、不確実性は尽きない。英国の経済成長は横ばいが続き、雇用主が負担する給与税の増税で企業の資金繰りはいっそう厳しくなった。一方、英国からは近年に例を見なかった規模の資産流出が起きつつある。
AXAインベストメント・マネジャーズで短期ポンド建て社債ファンドを運営するニコラ・トリンデード氏は、最近の少人数会合で記者団に対し、「英国が今年中にリセッション(景気後退)に陥るかもしれないという不安がややあった」と述べ、ポンド建て市場の活性化にはマクロ経済見通しの改善が必要だろうとの見方を示した。
だが、その実現には時間がかかる可能性がある。世界的な貿易摩擦や国民保険料の雇用主負担増加の影響で、経済成長は鈍化する見通しだと、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・アンドラーデ氏はリポートで指摘した。英国の国内総生産(GDP)は4月に前月比0.3%減と、1年半ぶりの大幅な落ち込みだった。
英企業の財務担当者は、行動で意思を示している。ブルームバーグがまとめたデータによれば、英国を拠点とする企業が今年これまでに発行した社債のうちポンド建ては2割未満で、2011年以来の低水準だった。ドル建てとユーロ建ての社債発行は、合わせて77%に上った。
ブルームバーグのデータに従うと、今年ポンド以外の通貨で資金調達を行った英国企業および金融機関は60社を超える。17日には、ガトウィック・ファンディングが昨年10月に続く2回目のユーロ建て社債を発行した。
このほか、長年ポンド建てで資金調達してきたマンチェスター空港グループ・ファンディングとロンドン・パワー・ネットワークスが、最近ユーロ建て社債を初めて発行した。
こうした流れの中で、世界の社債市場におけるポンド建ての比率は、2009年の8%近くから現在までに半減した。
原題:London’s Credit Market Dries Up as UK Plc Raises Debt Abroad (1)(抜粋)
--取材協力:Ronan Martin.
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