米予測市場を運営するポリマーケットで、トレーダー1人が100万ドル(約1億6000万円)近くを失った。サッカー・ワールドカップ(W杯)の試合結果への賭けが外れたためだ。初出場のカボベルデは15日、強豪スペインを相手に0-0の衝撃的な引き分けに持ち込んだ。近年のW杯で最も大きな番狂わせの一つとなり、カボベルデ代表の40歳のゴールキーパーは試合後、涙を流しながらピッチを後にした。

予測市場における最大級のプラットフォーム、ポリマーケットの取引記録によると、このトレーダーはオッズメーカーがほぼ確実とみていたスペイン勝利に賭けていた。

スペインは2024年のサッカー欧州選手権を制した欧州王者で、今大会のW杯優勝候補と広くみられていた。ゴールドマン・サックス・グループのモデルでは優勝確率が26%とされた。一方、カボベルデはW杯初出場で、登録メンバーに有名選手はいない。

大会序盤の数日間だけで意外な引き分けが既に複数出ているが、今回の試合結果は群を抜いて想定外だった。14日には日本が終盤に追い上げ、オランダと引き分けた。

番狂わせを支えたのは、ヴォジーニャの愛称で知られるジョシマル・ジョゼ・エヴォラ・ディアス選手だった。ゴールキーパーとしてこの試合で決定的なセーブを7本記録した。

ヴォジーニャ選手は、ビザ問題のため母親が歴史的なW杯デビュー戦を観戦できなかったと述べた。特に、カボベルデなど一部の国からの米国訪問者に最大1万5000ドルの返金可能な保証金を求める新たな規制要件が障害になったという。同選手は試合で最も活躍した選手に贈られるプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれ、この試合を「人生を通じて」目指してきた瞬間だったと語った。

ポリマーケットのような予測市場は無名に近い存在だったが、ここ数年で世界的な大会や多くのスポーツに賭けるプラットフォームとして人気を集めるようになった。以前は主に、地政学や経済イベントに賭ける手段として売り込まれていた。

利用者は暗号資産ウォレットを使うため、実名や所在地を明かさずに仮名で取引できる。同社は、証券会社や他の賭け事関連企業と同様の身元情報を収集していないとして、米国議員から批判を受けている。

予測市場のこうしたプラットフォームにより、W杯を巡り巨額で時に極めて高リスクな賭けが行われている実態も見えるようになった。ポリマーケットでは15日のスペイン戦で、合計6400万ドルの取引が行われた。

同プラットフォームの公開取引記録によると、「betoor619」というアカウント名の利用者が巨額の賭けに失敗した時点で、スペイン勝利のオッズは平均約92%だった。記録では、この利用者は昨年10月にアカウントを開設し、カボベルデ戦までは個別のイベントで9000ドルを超える利益や損失を出した経験はなかった。

一部のトレーダーは、比較的リスクが低い賭けで小幅な利益を狙うため、実現する可能性が極めて高い結果に大口で賭ける。スペインが勝っていれば、betoor619氏は約110万ドルの元手に対し、得られた利益は8万5000ドル程度にとどまっていた。

他のトレーダーもスペイン勝利に同様の大口で賭けていたが、別の大規模取引も実行していた人が大半で、スペイン戦による損失の少なくとも一部を相殺したとみられる。

予測市場では、大口トレーダーがいわゆるマーケットメーカーとして機能できる。一つの賭けについて勝つ側と負ける側の双方で取引する仕組みで、ウォール街の金融機関が同じ株式の売りも買いも行い、価格差から小幅な利益を得るのと同じだ。

原題:Trader Loses $1 Million on Cabo Verde’s Stunning World Cup Tie(抜粋)

--取材協力:Emily Nicolle、Felipe Marques、Carolyn Silverman.

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