(ブルームバーグ):日本銀行が17日の金融政策決定会合で政策金利を据え置き、同時に2026年4月から国債買い入れの減額幅圧縮を決めたことについて、アナリストからは予想通りとの受け止め方が多く、株式・金融市場に安心感をもたらした。
ストラテジストやアナリストらの見方は以下の通り。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジスト
- 日銀行からの政策発表が出る時間が遅く、少し警戒していたが、特に変わらない内容だったので安心材料になっている
- 数字自体も予想されていたものだった、先に織り込まれていたので株式市場としてはこれだけで反応しにくい
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のシニア為替ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏
- 日銀が毎四半期の国債買い入れの減額幅を4000億円程度に据え置くことが警戒されたものの、2000億円程度に半減させたことは長期金利の急上昇に対する懸念は和らげるだろう
- 今後数カ月以内に対米貿易政策の行方が明確になり、自民党が参議院選挙で過半数を維持した場合は年内に追加利上げに動く可能性はあるが、その前にクリアしなければならない幾つかの条件がある
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト
- 日銀会合の結果は予想通り、来年度からの国債買い入れ減額ペースを2000億円に圧縮することも市場で想定した通り、為替相場の反応は限定的
- 午前に日銀声明文を含めハト派的な内容に決まると見込んでドルを買っていた向きの反動や国債利回りの上昇が円を支えた
- 減額幅は予想通りだが、量的引き締め(QT)を進めていくことで債券市場は警戒しているのではないか
岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト
- 物価高が足元で少し加速している中でも米国の関税政策など不透明感があり、日銀が拙速に動くことはないという点を確認できたと述べた。
- 株式市場にとっては大きなインパクトはなかった、日経平均株価が年末にかけて昨年の高値を抜けていくとの見方に影響を与える内容ではない
- 最近は顧客の投資家の間で日銀のETF売却による影響への関心が改めて高まっている
ロンバード・オディエ・シンガポールのシニアマクロストラテジスト、ホーミン・リー氏
- 26年4月から国債買い入れ削減のペースが2000億円に緩やかになることは、日銀が債券市場グループ会合以降に示してきた慎重なガイダンスを踏まえ、市場参加者の間で既に広く予想されてきた
- 財務省と日銀による日本国債市場の運営を巡る調整が、需給のアンバランスから生じるイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ(傾斜化)やボラテリィティーの拡大ショックを軽減するだろう
- 財務省は国債発行計画の適切な調整、日銀は国債買い入れ削減計画を慎重にすることで対応余地を確保した、円と日本国債の双方について中立的な見方を維持する
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト
- 日銀が公表した国債買い入れ減額計画の中間評価はノーサプライズ、債券の下落はバイ・ザ・ルーモア、セル・ザ・ファクト(うわさで買って事実で売る)ではないか
- あえて売り材料を探せば、日銀が流動性を改善するために行っている国債補完供給の減額措置で、1銘柄当たりの市中保有額の上限が1.2兆円から1.5兆円に拡大、需給が緩和するとの連想につながった可能性
- 日米関税交渉のサミット合意が見送られたことで、日銀の利上げが遅れる可能性が出ていることは債券にとってポジティブ材料
- ただ、年度内に利上げが行われる可能性はあり、金利の低下余地も限定的だろう
関西みらい銀行の石田武ストラテジスト
- 日銀結果発表後は円安・ドル高に進むとみていたが、為替市場では思いのほか想定内という見方が強かったようだ
- 午前に円安が進んだため、その時点で既に日銀会合結果を織り込んでいた可能性
- 一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)はタカ派的なところが警戒されており、ドル・円相場は円安方向とみている
- 142-145円のレンジに傾きつつあるが、日銀会合からFOMCの流れでドルは147円くらいまで上昇する可能性がある
野村証券の荻野和馬シニア・クレジット・アナリスト
- 国債買い入れの減額幅圧縮で長期ゾーンの金利変動に対する市場の不安が和らぎ、社債市場に一定の安心感が広がりつつある
- 日銀の市場に一定の配慮をするとのメッセージは、投資家にとって安心材料
- 長期金利の変動は今後やや抑制される方向に働くとみられ、長期の社債に投資しやすくなる環境が整いつつある
- 下半期の利上げを見据え、起債環境が落ち着いている今のうちに社債発行を急ぐ企業が出てくる可能性
- 発行が増える局面で、スプレッドは現状維持か緩やかなタイト化にとどまる見通し
--取材協力:山中英典、堤健太郎、日高正裕、日向貴彦.
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