4月の所定内給与はうるう年の影響が剥落して前月から伸びが拡大したが、不安は残る
厚労省が6月5日に公表した4月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額は本系列で前年同月比+2.3%、共通事業所ベースでは、同+2.6%となった。他方、所定内給与は本系列で同+2.2%、共通事業所ベースでは同+2.5%となり、いずれも前月から伸びが拡大した。


賃上げ定着とデフレ脱却の観点から毎月勤労統計の所定内給与の伸び率には注目が集まっているが、2月、3月分の結果が弱いものとなったことは市場でも注目されていた。
エコノミストの間では、24年がうるう年だったことで25年2月の労働時間の前年同月比が小さくなりやすかったことが背景にあるという見方が有力視されていた。
一般的には所定内給与は固定給とされ、労働時間に連動しないケースが多いとみられるが、所定内給与が労働時間に連動する契約体系がある可能性があるため、うるう年の影響が排除できないという見方である。
また、給与が決定するタイミングと支給タイミングについても企業によって差があるため、2月の労働時間の変化が3月の給与にも反映され、3月分も所定内給与に影響を与えたという考察もあった。

実際、2月、3月には所定内労働時間(本系列)がそれぞれ前年同月比▲2.8%、同▲2.6%と落ち込んでいたが、4月は同▲1.2%となり、前月からマイナス幅が縮小した。
労働時間の減少幅は縮小したため、2月、3月分はうるう年の影響が一部に含まれていたことが確認できる内容であった。
しかし、1月分の同▲0.1%と比べれば弱い動きとなっている。そのため、所定内給与も回復したが、昨年と比べて弱めの推移になっている。
おそらく、景気悪化によって経済活動が弱含んでいることも労働時間が減少している背景としてあるのだろう。賃上げトレンドに対して不安が残る内容である。