深刻化するニセ警察・検察詐欺
法執行機関職員を装い金銭を詐取する「ニセ警察・検察詐欺」は、手口の巧妙化が著しく、深刻な社会問題として対策が急務である。
本レポートは、この喫緊の課題に対し、AIによるビデオ通話分析という最先端の技術で犯行手口の実態を鋭くえぐり出し、被害の防止に向けた実効性のある戦略的対策を提言することで、社会の安全確保に貢献することを目的とする。
警察庁統計(令和7年3月末)によれば、警察官等を騙る詐欺被害額は特殊詐欺全体の6割強(171.7億円)に達し、なお増加傾向にある。
警察庁の注意喚起等が示すように、犯人は「口座が犯罪に利用された」「携帯電話の不正契約により情報流出」等の虚偽情報を用いて、被害者の不安を煽る。
その上で「資産保護」「口座調査による潔白証明」といった巧妙な口実で金銭を要求する手口が横行している。
特に、「逮捕の可能性」「全財産喪失」といった脅迫的言辞や、偽造された身分証・逮捕状の提示は、被害者の判断能力を麻痺させる悪質性の高いものである。
手口は劇場型やSNS誘導など常に進化し、複雑化・高度化の一途を辿っている。