終盤国会は22日の会期末を控え、内閣不信任決議案を巡る与野党の攻防が焦点となっている。野党が提出に踏み切った場合、石破茂首相が採決を待たずに衆院を解散するとの報道もあり、今後各党の駆け引きが活発化しそうだ。

石破茂首相(5月30日)

自民党の森山裕幹事長は3日午前、「野党が内閣不信任案の提出を決定したとはまだ承知していないし、その件について私が総理と相談したということもない」と語った。仮に提出した場合の対応については石破首相が「適宜適切に判断をされる」とし、明言を避けた。役員連絡会後の記者会見で語った。

衆院解散となればトランプ米政権による関税措置への対応をはじめ世界情勢が不安定な中で一定期間の「政治空白」が生じかねない。また、7月に想定される参院選と同日選になる可能性があり、選挙協力を模索する野党の戦略に影響を与える。与党でも公明党は以前から同日選に慎重姿勢だ。

3日昼には官邸で政権幹部が集まる政府与党連絡会議が開かれた。終了後、公明の斉藤鉄夫代表は記者団に対し、不信任案への対応については一切、話がなかったと説明。衆院解散に関しては石破首相の判断に「お任せしたい」とする一方、衆参の選挙は別々に実施し、「それぞれ丁寧に民意を聞く方が望ましい」とする党の姿勢に変わりはないとも強調した。

一方、自民の鈴木俊一総務会長は同日の記者会見で内閣不信任案が可決されれば衆院を解散すべきだとの考えを明らかにしたと共同通信が報じた。国民に堂々と信を問うべきだと発言したという。

JNNが5月31日から2日間実施した世論調査では、石破内閣の支持率は5月上旬の前回調査から1.3ポイント上昇し、34.6%だった。政党支持率は自民が24.3%、立憲民主党が8.2%で国民民主党の6.8%、れいわ新選組の3.1%、公明の2.9%が続いている。

立民内に強硬論も

朝日新聞は2日夜の電子版で、内閣不信任案が提出された場合に石破首相が採決を待たずに衆院解散に踏み切るとの意向を周囲に伝えたと複数の政権幹部の情報を基に報じた。憲法第69条は内閣不信任案が成立した場合、内閣は10日以内に衆院解散か総辞職をしなければならないと規定している。

立憲民主党の野田佳彦代表(昨年11月)

内閣不信任案の提出には51人以上の衆院議員の賛同が必要で、野党会派では立民のみが単独で提出できる。野田佳彦代表は慎重な姿勢を示してきたが、党内からは不満の声も出ており、最終的な判断はこれからだ。

同党の小川淳也幹事長は3日の記者会見で、提出した場合に首相が衆院を解散する意向との報道について「政権側の焦り、根拠のない強気が透けて見える」と指摘。提出するかどうかの判断は「野党第1党にとって極めて神聖な行為」であり、野田代表が「熟慮に熟慮を重ねている」との考えを示した。

共同通信によると、党内に一定の影響力を持つ小沢一郎氏は5月28日の記者会見で党として内閣不信任案を提出するべきだとの認識を示した。野党で過半数を持っている時に、出さないのは国民にばかにされると発言したという。

提出に踏み切った場合も可決には他の野党の賛同が必要となるが、国民民主の玉木雄一郎代表は6月3日の記者会見で、石破内閣を「やすやすと信任することはできない」と発言した。年収103万円の壁の引き上げやガソリン暫定税率廃止を巡る自公との合意が十分に果たされていないことを理由に挙げた。

(立民の小川幹事長のコメントなどを追加し、更新しました)

--取材協力:梅川崇.

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