(ブルームバーグ):財務省が3日に実施した10年国債の入札は堅調な需要を集め、長期金利の指標となる10年債利回りは低下した。ただ、今週は需要動向に不透明感が残る30年国債の入札を5日に控えており、中期債の上昇は限定的にとどまった。
入札結果によると、応札倍率は3.66倍と前回(2.54倍)を上回り、2024年4月以来の高水準となった。最低落札価格も99円3銭と市場予想(98円95銭)を上回った。落札価格の平均と最低の差であるテールは1銭と前回の18銭から大幅に縮小し、良好な需要が集まったことを示唆している。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、10年債入札は「順調な結果だった」と話す。「1.5%の水準で買いやすく、アセットスワップなど他の資産との比較で相対的価値があると見て買いが入ったのではないか」と述べた。
世界的に長期国債への信頼が揺らいでいる。米国の関税政策を巡る先行き不透明感や景気減速への懸念などを背景に各国で政府支出の拡大が続き、財政赤字と債務負担の増加に対する警戒感が強まっている。
財政リスクへの意識は日本から英国、米国へと広がり、とりわけ日本銀行が国債買い入れを段階的に縮小している日本ではイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化が進行。政府の資金調達コストや将来的な金利負担への懸念が高まっている。

入札結果を受けて新発10年国債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.475%に低下した。長期国債先物中心限月の6月物は上昇に転じ、24銭高の139円26銭まで上昇した。
ただ、政府は金利上昇への警戒感を強め、国内での国債購入を促す姿勢を鮮明にしている。ブルームバーグが3日に確認した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案には、国債の国内保有の促進や安定的な発行に言及する異例の内容が盛り込まれた。
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市場の視線は既に5日予定の30年国債入札に向けられている。流動性の低い超長期債を巡っては需給不安が根強く、入札結果への警戒感がくすぶっている。
長年にわたる金融緩和政策の下で人為的に低金利が維持されてきた日本国債市場は現在、「金利のある世界」への移行期にある。5月の20年債と40年債の入札が不調に終わり、相場が大幅に下落したことは転換点に位置する市場の現状を象徴する動きと言えそうだ。
日銀が国債買い入れを段階的に縮小する中、明確な代替投資家が不在な点も市場の不安要因となっている。財務省も発行額の調整を検討し始め、日銀は16-17日の金融政策決定会合で、現在の減額計画の中間評価と来年度以降の方針を議論する見通しだ。
ただ、SMBC日興の田氏は、日銀の国債買い入れ減額の方針は変わらないため、金利は一段と低下しにくいとの見方を示した。
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--取材協力:近藤雅岐、グラス美亜.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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