6月1週(2-6日)の日本株は上昇の見込み。金利上昇に一服感が出ることを追い風に、上値を試す展開となりそう。

5月4週の東証株価指数(TOPIX)は週間で2.4%高と反発。為替相場が円安方向に振れたことやトランプ米政権の関税措置を巡る一時的な安心感が相場を支えた。

国内では3日に日本銀行の植田和男総裁が内外情勢調査会で、7日に内田真一副総裁が日本金融学会で講演する予定。乱高下が続く超長期金利の動向や金融政策の先行きに関する発言に注目が集まる。植田総裁は今週、最近の超長期金利の上昇について、長期以下のゾーンに及ぶ可能性があることに留意が必要との見解を示した。

5日には30年債入札を控える。需給懸念や20年債入札の記録的な不調を受けて、新発30年債利回りは5月21日に過去最高を更新した。財務省による発行減額の思惑が浮上する中、30年債入札を波乱なく終えれば、金利上昇への警戒が和らぎ、株式相場の追い風となる。

経済指標では2日に1-3月期の法人企業統計、5日に4月の毎月勤労統計が発表される。物価高が続く中、3月の同統計では実質賃金が3カ月連続で前年を下回った。海外では6日発表の5月の米雇用統計が注目となる。

《市場関係者の見方》

大和証券の坪井裕豪チーフストラテジスト

日本株は緩やかな上昇が続きやすい。海外投資家が日本株を買う動きも続いており、週末(5月30日)の下落で割安感も出る。植田総裁の講演はさらなる利上げに慎重姿勢を示すことを想定しており、日本株にとって好材料になりやすい。30年債入札で需要が見えれば金利上昇もいったん落ち着き、株の支えになる。

岡三証券の大下莉奈シニアストラテジスト

基本的に方向感に欠けるような一進一退の動きになりそう。事業法人の買いが高水準で推移していることは投資家心理の支えになる。一方、日経平均株価の3万8000円台からの戻りは鈍くなりやすい。植田総裁の講演や30年債入札を控え、金利の株式市場への影響に警戒感が残る。

--取材協力:我妻綾.

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