オーストラリアの年金業界団体「オーストラリア・スーパーアニュエーション基金協会(ASFA)」は、オーストラリア人が快適な老後を送るためには約69万豪ドル(約6700万円)の貯蓄が必要になるとの推計を発表した。世界的に高く評価される豪州の年金制度下でも生活費の上昇によって家計が圧迫されていることが浮き彫りになった。

最新の報告書によると、67歳までにカップルで69万豪ドル、単身者で59万5000豪ドルの貯蓄が必要という。これは政府年金の一部受給を前提としている。

四半期ごとのガイダンスでは生活費の上昇も示されており、持ち家を所有するカップルが快適な生活を送るために必要な金額は年間7万5319豪ドルと、わずか3カ月で約1500豪ドル増加した。

ASFAのメアリー・デラハンティ最高経営責任者(CEO)は発表資料で「一部の生活必需品やサービスに対する価格圧力が高まっている」とし、「今四半期は民間医療保険、電気料金、生鮮食品でインフレ率を上回る値上がりが見られた」と述べた。

オーストラリア特有の退職年金制度「スーパーアニュエーション」は、雇用主に従業員の年金口座への拠出を義務付けるもので、規模は4兆3000億豪ドルに上る。世界的に理想的なモデルとされる一方、十分な老後資金を確保できるかどうかについては懸念が残っている。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズが今週発表したリポートによると、世界の調査対象者約7000人のうち半数近くが「安心して引退するには奇跡が必要」と回答。豪州では、医薬品や公共料金、食料品の価格高騰を受けて80%が貯蓄の減額を余儀なくされていると答えた。

原題:Australian Retirees Need $455,000 of Savings to Live Comfortably(抜粋)

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