(ブルームバーグ):米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社のクリアレイク・キャピタル・グループは、ポートフォリオ企業を乗っ取りから守るために異例の措置を講じた。プラスチック容器メーカー、プレティアム・パッケージングの債務買い取りを通じた投機的な買収を阻止すべく、「不適格貸し手リスト」の掲載企業を約100社に増やしたと、事情を知る複数の関係者が明らかにした。
市場関係者によればこうしたブラックリストは通常、少数の貸し手に限られ、多くても30社程度だ。リストは債務を買い集めて株式などに転換し、最終的に企業の経営権を奪う「ローン・トゥ・オウン」戦略の防止や、交渉困難な投資会社との接触回避を狙うもの。クリアレイクは過去にプレティアムの債務取得を狙った投資家に対し、この措置を講じたことがあるという
ブラックリストは短期的には買収防止の効果があるが、長期的には副作用が生じかねないとルーミス・セイルスのエリック・ウィリアムズ氏は指摘する。関係者によればクリアレイクはこのような広範なリストを今後継続的に使う方針ではない。
クリアレイクの担当者も、プレティアムのローンをまとめるUBSグループの担当者もコメントを控えた。

この種のリストは、借り手とPEスポンサーが債務保有者を選別できるレバレッジドローン市場特有の制度だ。しかし対象が多すぎるとセカンダリー市場の流動性が損なわれると、ショアクリフ・アセット・マネジメントのグラント・ナックマン最高投資責任者(CIO)は懸念する。
再編に向けた選択肢が失われるリスクがあるため、「最終的に破産した場合に売却もできない、所有や出資も望まない債権者が、取り残される恐れがある」と述べた。
クリアレイクが20年に買収したプレティアムは、消費者の需要減少と高インフレの影響で23年に業績が悪化し、同年10月に債権者との間で債務交換に踏み切った。格付け会社のスタンダード&プアーズは24年9月、プレティアムのフリーキャッシュフロー(純現金収支)が25年末まで赤字になると予測。今年3月には信用格付けを「選択的デフォルト」にいったん引き下げた。
貸し手ブラックリストの拡大はこれに限ったケースではない。カーライル・グループが支援する放送・イベント会社NEPグループは2月、30社を超える不適格貸し手リストを作成したと、ブルームバーグが報じている。
ショアクリフのナックマン氏は「穏便な貸し手グループに限定するという点で、この戦略は理にかなうかもしれない」と話す。「しかし元の貸し手が将来の債権売却を不安に感じるようになれば、長期的には資金調達コストを押し上げる可能性が高い」と述べた。
原題:Clearlake’s 100-Lender Ban Takes Distressed Blacklist to Extreme(抜粋)
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